官吏でも公務員でもない所論鑑定人の作成する書類に契印することは何ら法の要求するところでない
公務員以外の者である鑑定人作成の書類に契印することの要否
刑訴規則58条,刑訴規則60条
判旨
官吏や公務員ではない鑑定人が作成する鑑定書等の書類については、法令上の特段の定めがない限り、契印することは法律上要求されていない。
問題の所在(論点)
官吏または公務員ではない鑑定人が作成する書類において、契印(書類の綴り目になされる印影)がないことが、刑事訴訟法上の手続的違法を構成するか。
規範
鑑定人が作成する鑑定書類の有効性に関し、当該鑑定人が官吏または公務員の身分を有しない場合には、法令に別段の定めがない限り、書類への契印は法的要件ではない。
重要事実
被告人側は、鑑定人が作成した書類に契印がないことをもって、訴訟法違反の手続的瑕疵があると主張し、上告を申し立てた。当該鑑定人は官吏でも公務員でもない私人であった。
あてはめ
本件における鑑定人は官吏でも公務員でもない。このような立場の者が作成する書類については、現行の法令上、契印を付すべき義務を課す規定は存在しない。したがって、契印がないことをもって直ちに書類の適法性や証拠能力を否定することはできない。
結論
本件上告は棄却される。非公務員の鑑定人が作成する書類に契印がなくても、訴訟法上の違法は認められない。
実務上の射程
本判決は、刑事訴訟における鑑定書類の形式的要件を限定的に解釈するものである。鑑定人の資格(公務員か否か)に留意しつつ、契印の有無のみで証拠排除を主張することは困難であることを示唆している。実務上は、鑑定書の真正を争うにあたって形式不備以外の実質的な理由が必要となる。
事件番号: 昭和22(れ)317 / 裁判年月日: 昭和23年7月6日 / 結論: 棄却
一 裁判所は人の精神状態を認定するのに必ずしも專門家の鑑定等による必要なく、他の證據によつて認定しても差支ない。 二 心神耗弱とか心神喪失とかいうことは刑事訴訟法第三六〇條にいう處の罪となるべき事實ではないから、これを認定した證據の説明をする必要はない。 三 所論改正刑法施行以前に第二審判決が爲された事件に付ては所論執…