一 単行本「匂える園」(著者ネフザウイ長老、訳者松戸淳、発行者豊久吉造、発行所紫書房とあるもの) 二 単行本「秘話バルカン戦争」(著者ウイルヘルム・マルテル、訳者松戸淳、発行者豊久吉造、発行所紫書房とあるもの) 三 単行本「ガミアニ」(著者アルフレツド・ミユツセ、訳者吉野春樹、発行所紫書房とあるもの) 四 単行本「おんな色事師」(著者ダフエルノス、訳者杉並夫、発行者豊久吉造、発行所紫書房とあるもの) 五 単行本「匂える園」(著者ネフザウイ、訳者田村恒男、発行者豊久吉造、発行所紫書房の記載あるもの) 六 単行本「艶説楊貴妃」(水上凌三訳、紫書房発行の記載あるもの) 七 単行本「船長夜話」(著者G・B、高野守夫訳、発行者豊久吉造、発行所紫書房とあるもの) 八 単行本「ジユリエツト」(著者マルキ・ド・サド、訳者島田善一郎、発行者豊久吉造、発行所紫書房とあるもの) 九 単行本「印度のヴイナス」(チヤールス・デヴルウ著、野村信介訳とあるもの) 一0 単行本「真情春雨衣」(吾妻雄兎子作、訳者筧栄一、発行者豊久吉造、発行所紫書房とあるもの) 一一 「新撰枕大全」の一部を原文のまま集録した単行本「真実伊勢物語」 右はいずれも刑法第一七五条にいわゆる「猥褻文書」にあたる
刑法第一七五条にいわゆる「猥褻文書」にあたる一事例
刑法175条
判旨
刑法175条の「わいせつ」な文書とは、徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう。
問題の所在(論点)
刑法175条における「わいせつ」な文書の意義およびその判断基準が問題となる。
規範
刑法175条にいう「わいせつ」な文書とは、以下の3要素を具備するものを指す。①徒に性欲を興奮又は刺激せしめるものであること、②普通人の正常な性的羞恥心を害するものであること、③善良な性的道義観念に反するものであること。
重要事実
被告人が、特定の文書(本件各文書)を配布等した行為について、わいせつ物頒布等の罪に問われた事案である。被告人側は、当該文書が刑法175条の「わいせつ」な文書に該当しないと主張して上告した。
あてはめ
提示された判決文からは具体的なあてはめの詳細は不明であるが、原審が本件各文書を「わいせつ」と認定した判断を、最高裁は正当として追認している。これにより、当該文書が性欲を刺激し、一般人の性的羞恥心を害し、社会的な性的道義観念に反するものと評価されたと解される。
結論
本件各文書が刑法175条の「わいせつ」な文書にあたるとした原審の判断は正当であり、上告は棄却される。
実務上の射程
本決定は、いわゆる「チャタレー事件」判決(最大判昭32.3.13)で示された「わいせつの三要素」を再確認したものである。答案上は、わいせつ物頒布等の罪の成否を論じる際の定義として、この三要素を記述し、当該物件の具体的性質(描写の程度、文脈、表現の意図等)に即してあてはめを行う際に活用する。
事件番号: 昭和28(あ)1713 / 裁判年月日: 昭和32年3月13日 / 結論: 棄却
一 刑法第一七五条にいわゆる「猥褻文書」とは、その内容が徒らに性欲を興奮又は刺戟せしめ、且つ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する文書をいう。 二 文書が「猥褻文書」に当るかどうかの判断は、当該文書についてなされる事実認定の問題でなく、法解釈の問題である。 三 文書が、「猥褻文書」に当るかどうかは…
事件番号: 昭和34(あ)923 / 裁判年月日: 昭和34年10月29日 / 結論: 棄却
刑法第一七五条にいう「猥褻ノ物」とは、性欲を刺戟しもしくは興奮させまたはこれを満足せしむべき物品であつて、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう。