刑法第一七五条にいう「猥褻ノ物」とは、性欲を刺戟しもしくは興奮させまたはこれを満足せしむべき物品であつて、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう。
刑法第一七五条にいう「猥褻ノ物」の意義。
刑法175条
判旨
刑法175条にいう「わいせつ」な物とは、徒らに性欲を刺激、興奮又は満足させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう。
問題の所在(論点)
刑法175条に規定される「わいせつ」な物の意義、およびその判断基準が問題となる。
規範
刑法175条にいう「わいせつ」な物とは、①徒らに性欲を刺激、興奮させ、又はこれを満足せしめるものであり、かつ、②普通人の正常な性的羞恥心を害し、③善良な性的道義観念に反するものをいう。
重要事実
被告人が刑法175条に基づきわいせつ物頒布等の罪に問われた事案において、問題となった物件(本件物件)が同条の「わいせつの物」に該当するかが争点となった(具体的な事実関係については判決文からは不明)。
あてはめ
事件番号: 昭和29(あ)3592 / 裁判年月日: 昭和31年9月25日 / 結論: 棄却
刑法一七五条にいわゆる猥褻とは徒らに性慾を興奮又は刺戟せしめ、且つ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいうこと当裁判所の判例(昭和二六年(れ)第一七二号同年五月一〇日第一小法廷判決、集五巻六号一〇二六頁参照)とするところであり、この判例を変更すべき理由を見ない。
原判決の確定したところによれば、本件物件は、性欲を刺激・興奮させ、または満足させるものであり、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものであるといえる。したがって、本件物件は「わいせつの物」に該当すると判断される。
結論
本件物件は刑法175条にいう「わいせつの物」に該当し、同罪が成立する。
実務上の射程
わいせつ概念に関する定義を確立した重要判例(チャタレイ事件最高裁判決を踏襲)であり、現在もわいせつ物頒布罪等の構成要件解釈において確立した規範として機能する。答案上は、本規範を提示した上で、対象物の具体的態様を考慮し、「性的刺激の強さ」「羞恥心の侵害」「道義観念への反抗」の3要素に事実をあてはめる必要がある。
事件番号: 昭和32(あ)3099 / 裁判年月日: 昭和33年4月30日 / 結論: 棄却
一 単行本「匂える園」(著者ネフザウイ長老、訳者松戸淳、発行者豊久吉造、発行所紫書房とあるもの) 二 単行本「秘話バルカン戦争」(著者ウイルヘルム・マルテル、訳者松戸淳、発行者豊久吉造、発行所紫書房とあるもの) 三 単行本「ガミアニ」(著者アルフレツド・ミユツセ、訳者吉野春樹、発行所紫書房とあるもの) 四 単行本「おん…
事件番号: 昭和38(あ)3187 / 裁判年月日: 昭和39年5月29日 / 結論: 棄却
所論は、本件盃の底部に貼付されてある写真はいわゆるヌードの範囲に属し、徒らに性慾を興奮または刺戟するものではないから、原審がこれを猥褻図画に当るとした判断は刑法第一七五条の解釈を誤まつたものであり、かつ、憲法第二一条第一項の保障する表現の自由に違反する疑があると主張するが、原審が右盃を刑法第一七五条の猥褻図画に当るとし…
事件番号: 昭和33(あ)731 / 裁判年月日: 昭和33年6月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】郵便法違反等の罪に関し、憲法37条1項にいう「公平な裁判所」とは、構成その他において偏頗のおそれのない裁判所を指し、裁判官が「良心に従う」とは、自己の内心的良心に従うとともに客観的な憲法・法律に従うことを指すと判示した。 第1 事案の概要:被告人が郵便法違反等の罪に問われた事案において、原審の判断…