判決原本と謄本とが異るときは、特段の事情のない限り謄本に誤りがあるものと解するを相当とする
判決原本と謄本とが異るときにおける正確性の判断
刑訴規則57条
判旨
憲法37条1項の「公平な裁判所」とは構成等において偏頗の恐れのない裁判所を指し、同76条3項の「良心に従い」とは外部の圧迫等に屈せず自己の内心の良識に従うことを意味する。
問題の所在(論点)
裁判官の訴訟手続上の不備や、被告人の属性(国籍等)による差別の主張がある場合に、憲法37条1項の「公平な裁判所」および憲法76条3項の「良心に従い」という要件に抵触するか。
規範
1. 憲法37条1項にいう「公平な裁判所」とは、裁判所の構成その他において偏頗(へんぱ)な恐れのない裁判所という意味である。2. 憲法76条3項にいう「裁判官がその良心に従い」とは、裁判官が有形無形の外部の圧迫や誘惑に屈することなく、自己の内心の良識と道徳観に従うことを意味する。
重要事実
被告人Aらの弁護人が、第一審または原審の判断過程や手続(判決原本の挿入文字の処理等)に不備があり、また被告人が中国人であることによる不当な差別的取扱いがあったと主張して、憲法37条(公平な裁判所を受ける権利)および憲法76条3項(裁判官の独立・良心)に違反すると訴えて上告した事案である。
事件番号: 昭和28(あ)383 / 裁判年月日: 昭和30年7月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項が保障する「公平な裁判所」とは、偏頗や不公平のおそれのない組織と構成を備えた裁判所を指し、個々の事件における事実認定の当否自体を指すものではない。 第1 事案の概要:被告人が、原審(控訴審)において第一審判決が維持されたことに対し、原審は予断を抱いて安易に控訴を棄却したものであり、公…
あてはめ
1. 判決原本の挿入手続について記録上違法と認めるべき証跡はなく、特段の事情がない限り謄本の誤りと解すべきであり、裁判所の構成自体に偏頗の恐れがあるとはいえない。2. 被告人が中国人であるために不平等な取扱いを受けたという客観的事実も記録上存在しない。したがって、裁判官が外部の圧迫等により内心の良識に反した判断を行ったとは認められない。
結論
本件裁判所は公平な裁判所であり、裁判官が良心に反して職権を行使した事実も認められないため、違憲の主張は当たらない。上告棄却。
実務上の射程
憲法37条1項および76条3項の定義を示すリーディングケースである。答案上は、裁判官の忌避・回避が問題となる場面や、裁判官の職務執行の独立性が問われる場面で、これら用語の定義を引用する基礎的な規範として用いる。
事件番号: 昭和38(あ)456 / 裁判年月日: 昭和39年7月17日 / 結論: 棄却
何人も外国為替管理令第七条及び同令第一一条所定の各要件を具備することにより、集中義務の免除及び支払の制限、禁止の免除を受ける機会を与えられているから、憲法第一四条の平等の原則に違反するとの主張はその前提を欠く。
事件番号: 昭和38(あ)2629 / 裁判年月日: 昭和39年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法律が基本的な規制を概括的に規定し、具体的な犯罪構成要件の細目を政令に委任することは、特に経済統制法規のような専門的・流動的な分野においては憲法73条6号但書、31条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人らは、外国為替及び外国貿易管理法(当時)27条1項3号に違反して、許可を受けずに非居住者のた…
事件番号: 昭和38(あ)1801 / 裁判年月日: 昭和40年3月26日 / 結論: 棄却
一 外国為替及び外国貿易管理法第七三条は、事業主たる法人の代表者でない従業者の違反行為につき、当該法人に右行為者の選任、監督その他違反行為を防止するために必要な注意を尽さなかつた過失の存在を推定した規定と解すべく、事業主において右に関する注意を尽したことの証明がなされない限り、事業主もまた刑責を免れないとする法意である…
事件番号: 昭和37(あ)1868 / 裁判年月日: 昭和39年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法律の委任に基づき政令で罰則(犯罪構成要件および刑)を設けることは憲法73条6号但書により許容される。また、不当に長い拘禁後の自白(憲法38条2項)に該当するかは、身柄拘束の経緯、事案の複雑性、自白の時期等を総合して判断すべきである。 第1 事案の概要:被告人は外国為替及び外国貿易管理法違反の罪に…