判旨
共同被告人相互の検察官面前調書について、検察官が「相互の証拠とする」と請求し、被告人がこれに同意して取調べが行われた場合、刑事訴訟法326条の同意による証拠能力が認められる。
問題の所在(論点)
共同被告人の検察官面前調書を「相互の証拠とする」という請求に対し、被告人が同意して取調べがなされた場合、当該調書に刑訴法326条に基づく証拠能力が認められるか。
規範
刑事訴訟法326条1項に基づく同意がある場合、伝聞例外の要件(321条〜324条)を充足するか否かにかかわらず、裁判所が相当と認めるときは証拠能力が付与される。共同被告人相互の供述調書についても、適法な請求とこれに対する同意、および裁判所による採用があれば、同条による証拠能力が認められる。
重要事実
被告人および第一審相被告人Aの検察官面前調書について、第一審公判期日に検察官から当初は刑訴法322条(被告人の供述)により取調請求がなされた。その後、検察官は「先に提出した被告人両名の検察官に対する供述調書を相互の証拠とする」として再度取調を請求した。被告人はこれに同意し、裁判所はこれを採用して証拠調べを実施した。弁護人は、当該調書は刑訴法328条(弾劾証拠)の同意に過ぎないと主張した。
あてはめ
本件では、検察官が被告人両名の調書を「相互の証拠とする」旨を明示して取調請求を行っており、これに対して被告人は明確に同意を与えている。このような手続経過に照らせば、当該同意は証拠の同一性を争う趣旨(刑訴法328条関連)ではなく、証拠の内容を実質証拠として採用することに同意する刑訴法326条の同意と認めるのが正当である。また、当該自白が脅迫によるものや任意性を疑うべき事情も記録上認められない。
結論
共同被告人相互の供述調書は、刑訴法326条の同意に基づき証拠能力が認められる。本件上告は棄却される。
実務上の射程
共犯者の供述の証拠能力について、伝聞例外(321条1項各号)の要件充足性を検討する前に、326条の同意の有無をまず確認すべきである。実務上、「相互の証拠とする」という検察官の請求に対する同意は、326条の同意として扱われることを示した射程を持つ。答案では、伝聞法則の例外としての同意の法的性質を論じる際の論拠となる。
事件番号: 昭和29(あ)154 / 裁判年月日: 昭和30年11月29日 / 結論: 棄却
刑訴第三二一条第一項第二号後段の規定は、憲法三七条第二項に違反しない。