被告人が証拠とすることに同意した供述調書について、その調書の作成されたときの情況を考慮して相当と認めたときは、これを証拠とすることができるのであつて、それ以上任意性につき調査することを要しない。
証拠とすることに同意した供述調書と任意性の調査
刑訴法326条,刑訴法325条,刑訴法319条1項,憲法38条2項
判旨
刑事訴訟法326条1項に基づく証拠同意がある場合、裁判所がその作成時の状況等を考慮して相当と認めるときは、伝聞排除法則(321条乃至325条)の適用を受けず証拠能力が認められる。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法326条1項の同意がある証拠について、伝聞例外の要件(321条〜325条)を満たさない場合であっても、証拠能力を認めることができるか。
規範
検察官及び被告人が証拠とすることに同意した書面又は供述については、刑事訴訟法326条1項に基づき、その書面が作成され又は供述がされた時の状況を考慮して相当と認めるときは、同法321条ないし325条の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
重要事実
被告人の自白について、弁護人は強要、暴行、脅迫等の下になされたものであるとして違憲・違法を主張したが、これを確認するに足りる証拠は存在しなかった。一方で、本件の書面または供述については、検察官および被告人が証拠とすることに同意していた。
あてはめ
本件において、問題となる書面や供述は検察官および被告人の双方が証拠とすることに同意している。また、当該書面等の作成時の状況を考慮しても、特段不相当と認められる事情は存在しない。したがって、伝聞排除法則の例外として証拠能力を認めることが法的に正当化される。
結論
被告人と検察官の同意があり、かつ裁判所が相当と認める場合には、伝聞法則の制限を超えて証拠能力を認めることができるため、本件上告は棄却される。
実務上の射程
伝聞例外における「同意(326条)」の優先性を確認した基本判例である。答案上は、伝聞証拠であっても、まずは同意の有無を検討し、同意がある場合には「作成時の状況を考慮して相当」か否かという326条1項の要件に直接あてはめるべきことを示唆している。
事件番号: 昭和28(あ)1376 / 裁判年月日: 昭和29年12月24日 / 結論: 棄却
検察官が同意を条件として被告人の検察官に対する供述調書の証拠調を請求したのに対し、被告人がこれを証拠とすることに同意しなかつた場合でも、裁判所は刑訴第三二三条の条件を具備するか否かに関する事項を取調べた上で、右供述調書の証拠調をすることができる。