検察官が同意を条件として被告人の検察官に対する供述調書の証拠調を請求したのに対し、被告人がこれを証拠とすることに同意しなかつた場合でも、裁判所は刑訴第三二三条の条件を具備するか否かに関する事項を取調べた上で、右供述調書の証拠調をすることができる。
検察官が同意を条件として被告人の検察官に対する供述調書の証拠調を請求したのに対し、被告人がこれを証拠とすることに同意しなかつた場合とその供述調書の証拠調
刑訴法326条,刑訴法322条,刑訴法298条,刑訴法299条2項
判旨
被告人の供述を録取した書面は、刑事訴訟法322条の要件(任意性等)を具備する場合には、相手方の同意がなくても証拠とすることができる。
問題の所在(論点)
被告人の供述を録取した書面(検察官面前調書等)について、相手方の同意(刑訴法326条)がない場合に、刑訴法322条の要件を満たすことで証拠能力を認めることができるか。
規範
被告人の供述を録取した書面は、刑事訴訟法322条が定める要件を具備する限り、同法326条の同意がない場合であっても、適法に証拠として採用することができる。
重要事実
第一審裁判所は、被告人の検察官に対する供述調書について、証拠採用の同意がない状況において、被告人に対し任意性等の条件を具備するか否かに関する事項を確認した上で、これを証拠として採用した。弁護人は、当該証拠調べの手続に違法があるとして上告した。
あてはめ
本件における検察官に対する被告人の供述調書は、刑訴法322条の条件を具備する場合には同意なくとも証拠調べをすることができる書面である。第一審裁判官が、当該条件を具備するか否かについて被告人に尋ねた上で証拠調べを行っている以上、手続に違法があるとはいえない。また、仮に当該書面を除外したとしても、他の証拠によって事実認定が可能であるため、判決に影響を及ぼすような違法は認められない。
結論
被告人の供述を録取した書面は、刑訴法322条の要件を満たす限り同意なく証拠とすることができ、本件の証拠調べ手続に違法はない。
実務上の射程
伝聞例外のうち、被告人の供述書・供述録取書(322条)の証拠能力が、326条の同意を待たずして認められることを明示した。実務上、被告人が不同意とした調書であっても、322条1項ただし書の「特に可信すべき状況」(特信状況)等の要件を検討することで証拠採用を検討する際の基礎となる。
事件番号: 昭和29(あ)1270 / 裁判年月日: 昭和29年12月23日 / 結論: 棄却
被告人が証拠とすることに同意した供述調書について、その調書の作成されたときの情況を考慮して相当と認めたときは、これを証拠とすることができるのであつて、それ以上任意性につき調査することを要しない。