判旨
正当な債権の行使であっても、その手段が恐喝にあたる態様で行われた場合には、恐喝罪が成立することを認めた。
問題の所在(論点)
権利者がその権利を実行するにあたり、脅迫を用いて財物を交付させた場合、権利の範囲内であれば恐喝罪の成立が否定されるか。また、原判決が引用した判例の適切性と判例違反の有無が問題となった。
規範
権利の行使として行われた場合であっても、その手段が社会通念上許容される範囲を超え、相手方を畏怖させて財物を交付させたといえる場合には、恐喝罪(刑法249条)が成立する。
重要事実
被告人両名が、何らかの債権または権利を背景として、相手方に対して財物の交付を求めた事案。原審は、先行する最高裁判例(昭和30年10月14日判決等)を引用し、本件行為が恐喝罪を構成すると判断した。これに対し弁護側は、引用された判例の一方が本件と趣旨を異にするとして、判例違反を理由に上告した。
あてはめ
本件において、原判決が引用した二つの判例のうち、一方は必ずしも適切ではない可能性がある。しかし、もう一方の判例(最大判昭30.10.14)は、権利行使であっても手段が不当であれば恐喝罪が成立するという本件の説示に合致しており、適切である。したがって、適切な判例が一つ引用されている以上、原判決の判断全体として判例に反するものとはいえない。
結論
本件各上告を棄却する。正当な権利行使の形を借りていても、不当な手段による財物交付の要求は恐喝罪を構成する。
実務上の射程
権利行使と恐喝の限界に関する重要判例である。答案上は、不法領得の意思の有無という文脈で、権利の範囲内であっても手段の相当性を欠けば『不法な領得』にあたると論ずる際の根拠として使用する。自力救済の禁止という法理と関連付けて、手段の違法性が犯罪を構成することを明示するのに適している。
事件番号: 昭和41(あ)2301 / 裁判年月日: 昭和42年6月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】正当な権利行使の手段として行われた恐喝行為であっても、その手段方法が社会通念上一般に忍容すべきものと認められる程度を逸脱する場合には、恐喝罪が成立する。 第1 事案の概要:上告人は正当な権利(債権等)を有していたが、その行使に際して恐喝罪の構成要件に該当する行為を行った。弁護人は権利行使である以上…