経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律第二条にいう「其ノ職務」とは、同条の定める会社、組合またはこれらに準ずるものの職務であれば、同条のいう事業または業務にかかわりなく、すべてを含むと解すべきではないが、本来の独占的または統制的性質をもつ業務に局限すべきでなく、本来の事業または業務を行うために必要な関係にある事務をも含むものと解するのを相当とする。
経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律第二条にいう「其ノ職務」の意義。
経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律2条
判旨
経済関係罰則の整備に関する法律2条にいう「統制ニ関スル業務」とは、本来の独占的または統制的性質をもつ業務に局限されず、本来の事業または業務を行うために必要な関係にある事務をも含む。
問題の所在(論点)
信用金庫や信用組合等の経済団体において、職員が行う「貸付業務」が、経済関係罰則の整備に関する法律2条に規定される「統制ニ関スル業務」および「其ノ職務」に該当するか。
規範
経済関係罰則の整備に関する法律2条(収賄罪)の「其ノ職務」とは、同条に定める会社・組合等の職務であれば、事業・業務の如何を問わず全てを含むわけではないが、本来の独占的または統制的性質をもつ業務に限られるものでもない。本来の事業または業務を行うために必要な関係にある事務を含むと解するのが相当である。
重要事実
被告人は、市街地信用組合法により設立されたA信用金庫、中小企業等協同組合法によるB信用組合、および信用金庫法によるB信用金庫において貸付業務に従事していた。これらの団体は、金融緊急措置令や臨時金利調整法、中小企業等協同組合法等に基づき、資金融通や金利、業務運営の面で国家の監督・統制を受けていた。被告人がこれら団体の貸付業務に関連して金員を授受したことが、同法2条の収賄罪に問われた。
事件番号: 昭和28(あ)5626 / 裁判年月日: 昭和31年2月29日 / 結論: 棄却
経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律別表乙号二四の金融機関たる銀行の為す貸付業務は、金融緊急措置令第六条同施行規則第一三条および金融機関資金融通準則に基いて行われるものであつて、右法律第二条の経済の統制を目的とする法令により行う「統制に関する業務」である。
あてはめ
まず、本件の信用金庫等は、金融緊急措置令上の金融機関に該当し、資金融通準則や金利最高限度の告示等により厳格な公的統制に服している。したがって、これらは同法別表乙号に掲げる「統制ニ関スル業務ヲ為ス」経済団体に該当する。次に、これら団体が行う貸付業務は、団体の本来の事業を遂行するために必要不可欠な事務であり、統制に関連する業務の範囲に含まれる。ゆえに、被告人が担当した貸付事務は「其ノ職務」に該当すると評価される。
結論
信用金庫等の貸付業務は「統制ニ関スル業務」に該当し、その事務に従事する者の職務に関して賄賂を収受する行為は、経済関係罰則の整備に関する法律2条の収賄罪を構成する。
実務上の射程
本判決は、特別法上の収賄罪における「職務」の範囲を、独占的・権力的な事務に限定せず、業務遂行に密接・必要な関連事務まで広く認める点に特徴がある。刑法上の収賄罪における「職務」の解釈(密接関連事務を含む)と並行的な議論として、答案上で援用可能である。
事件番号: 昭和37(あ)555 / 裁判年月日: 昭和37年9月20日 / 結論: 棄却
原判決が、本件相互銀行のなす貸付業務が、経済関係罰則の整備に関する法律第二条の経済の統制を目的とする法令により行う統制に関する業務であることは明らかであるとして、被告人らの本件行為に右法律第二条を適用したことを相当であると判示したのは正当である。
事件番号: 昭和39(あ)1336 / 裁判年月日: 昭和40年9月21日 / 結論: 棄却
銀行支店長代理が架空の定期預金証書を作成し交付することは、経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律第二条にいわゆる「職務に関する行為」に当る。
事件番号: 昭和30(あ)4126 / 裁判年月日: 昭和31年12月13日 / 結論: 棄却
経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律別表乙号十九ノ二「信用金庫法ニ依ル信用金庫」は、同法第二条にいう「特別ノ法令ニ依リ設立セラレタル会社」「ニ準ズルモノ」にあたる。
事件番号: 昭和28(あ)4064 / 裁判年月日: 昭和31年3月9日 / 結論: 破棄差戻
一 原判決が高等裁判所の判例と相反する判断をし、これを理由として上告された場合に、最高裁判所が先例たる判例及び原判決のいずれとも異なる見解に立ち原判決を維持するをえないときは、原判決は破棄すべきものである。 二 当裁判所判例(昭和二八年(あ)第四三八一号同三〇年五月一〇日第三小法廷判決、昭和二八年(あ)第二九〇九号、同…