上告棄却決定に対する裁判解釈の申立を適法な異議申立として取り扱った事例
刑訴法501条,刑訴法386条
判旨
最高裁判所の上告棄却決定に対して刑事訴訟法501条の解釈の申立てをすることは許されないが、実質的に異議の申立てと解される場合はそのように取り扱うべきであり、刑訴法411条の職権発動をしない旨の判断に具体的な判断を示す必要はない。
問題の所在(論点)
1. 最高裁判所の上告棄却決定に対し、刑訴法501条に基づく裁判の解釈の申立てをすることができるか。 2. 刑訴法411条に基づく職権発動を求める主張に対し、裁判所は具体的な判断を示す義務を負うか。
規範
1. 最高裁判所がした上告棄却の決定に対し、刑事訴訟法501条に基づく「裁判の解釈の申立て」をすることは許されない。もっとも、申立ての内容が不服を述べるものである場合には、実質に鑑み、上告棄却決定に対する適法な異議の申立て(同法415条等)として取り扱うのが相当である。 2. 刑訴法411条に基づく職権発動の要否については、裁判所が当該事案において同条の職権を発動すべき場合に当たらないと認めたのであれば、それ以上に具体的な判断を示す必要はない。
重要事実
申立人は、最高裁判所が下した傷害致死被告事件の上告棄却決定に対し、「裁判の解釈の申立て」と題する書面を提出した。その主張の内容は、上告趣意のうち刑訴法411条(判決の破棄)に基づく主張についても、最高裁判所が具体的な判断を示すべきであるというものであった。
あてはめ
1. 本件申立ては「裁判の解釈の申立て」と題されているが、上告棄却決定に対して同条の申立てをすることは判例上許されない。しかし、内容が決定に対する不服であるため、適法な「異議の申立て」と解して審理する。 2. 申立人は刑訴法411条に関する具体的な判断がないことを不服とするが、最高裁判所が本件を同条の職権を発動すべき場合に当たらないと判断した以上、その結論で十分であり、個別の主張に対して詳細な説示を付す必要はないといえる。
事件番号: 昭和42(す)446 / 裁判年月日: 昭和43年1月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法501条の「裁判の解釈について疑があるとき」とは、裁判の主文の趣旨が明瞭でなくその解釈に疑義がある場合を指し、上告棄却決定をした裁判所は同条の「刑の言渡をした裁判所」には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が、自らの上告を棄却した最高裁判所の決定に対し、刑事訴訟法501条に基づき裁判の…
結論
本件申立てを異議の申立てとして取り扱うが、最高裁が刑訴法411条の職権発動を不要と判断したことに誤りはなく、申立てには理由がないため棄却する。
実務上の射程
1. 形式上不適法な申立てであっても、内容が異議の申立てに該当すれば実質的に救済の道を探る実務運用を示す。 2. 刑訴法411条が「職権」規定であることを根拠に、弁護人の主張に対する裁判所の判断示銘の義務を限定する文脈で活用できる。
事件番号: 昭和42(す)343 / 裁判年月日: 昭和42年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所の上告棄却決定に対する異議申立てにおいて、申立てに理由がない場合、または申立期間を経過した不適法なものである場合は、いずれも棄却される。 第1 事案の概要:被告人AおよびBは、傷害、逮捕、恐喝等の罪に問われ、最高裁判所(昭和41年(あ)第2544号)により上告棄却の決定を受けた。これに対…
事件番号: 昭和33(す)238 / 裁判年月日: 昭和33年6月17日 / 結論: 棄却
上告棄却決定に対する異議申立棄却決定に対しては刑訴第五〇一条にいわゆる裁判の解釈を求める申立をすることができない
事件番号: 昭和50(す)82 / 裁判年月日: 昭和50年7月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所の上告棄却決定に対して特別抗告をすることはできないが、決定内容に誤りがある場合に限り、刑訴法414条・386条2項により異議の申立てをすることができる。この制度は、判決の訂正(415条)と同趣旨の制度として、最高裁判所がその憲法上の地位に基づき創設したものと解される。 第1 事案の概要:…
事件番号: 昭和45(す)278 / 裁判年月日: 昭和45年12月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所の上告棄却決定に対する判決訂正の申立ては許されず、内容に誤りがない住居記載の訂正のみを求める申立ては不適法である。 第1 事案の概要:傷害、暴行被告事件について、最高裁判所が上告棄却の決定を下した。これに対し弁護人が「判決訂正申立」という標題の書面を提出したが、その内容は裁判の判断内容そ…