刑訴法八九条三号の規定違憲(憲法一三条、二二条、三一条、三四条、三七条一項、三項違反)の主張が欠前提(立法政策)とされた事例
刑訴法89条3号
判旨
刑事訴訟法89条3号が定める、常習犯であることを理由とする権利保釈の除外事由は、憲法違反ではない。常習性の有無や犯罪の軽重に基づき除外事由を定めることは立法政策の問題に属する。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法89条3号が、常習性の有無等を基準に権利保釈を制限している点は、憲法に照らし違憲といえるか。
規範
権利保釈の除外事由を、常習性の有無や犯罪の軽重を基準としてどのように定めるかは立法政策の問題であり、その合理性を著しく欠くなどの特段の事情がない限り、憲法適否の問題にはならない。
重要事実
被告人が刑事訴訟法89条3号(常習犯による権利保釈の除外)の規定を適用されたことに対し、同条項が憲法に違反する旨を主張して抗告を申し立てた事案。
あてはめ
常習性の有無や犯罪の軽重という客観的な指標に基づき権利保釈を制限することは、再犯防止や司法手続の円滑な進行という観点から合理的な裁量の範囲内といえる。したがって、これをどのように規定するかは立法府の政策的判断に委ねられるべき事柄であると解される。
事件番号: 昭和55(し)108 / 裁判年月日: 昭和55年9月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】保釈の取消しおよび保釈保証金の没取を決定するに際し、被告人等に陳述の機会を与えなくても、憲法13条および29条に違反しない。 第1 事案の概要:本件において、裁判所は被告人の保釈を取消し、あわせて保釈保証金の全部または一部を没取する決定を下した。これに対し、申立人(抗告人)は、当該決定を行うに際し…
結論
刑事訴訟法89条3号は合憲であり、本件抗告は棄却される。
実務上の射程
権利保釈の除外事由全般の合憲性を基礎づける判例である。答案上は、保釈の要否が争点となる際に、同条の趣旨が適正な刑事手続の確保と立法政策にあることを示す論拠として利用できる。
事件番号: 昭和56(し)19 / 裁判年月日: 昭和56年2月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】保釈の権利除外事由である刑事訴訟法89条3号の「常習性」の判断において、被告人の同種前科を考慮することは、憲法31条、39条等に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が保釈を請求したところ、裁判所は刑訴法89条3号の権利保釈除外事由(常習的犯行のおそれ)があるとしてこれを却下した。これに対し被告人…
事件番号: 昭和53(し)50 / 裁判年月日: 昭和53年6月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】保釈請求却下の裁判をした裁判官が、同一被告人につき他の裁判官がした保釈請求却下の裁判に対する準抗告の審理に関与することは、直ちに憲法37条1項の「公平な裁判所」に反しない。 第1 事案の概要:被告人に対し、ある裁判官が以前に保釈請求を却下する裁判を行った。その後、別の裁判官が同一の被告人に対して行…
事件番号: 昭和31(し)13 / 裁判年月日: 昭和31年4月19日 / 結論: 棄却
一 原審の決定要旨 控訴審において控訴棄却の判決の宣告があり、禁錮以上の刑に処する旨の第一審判決が維持せられた場合においては第一審判決宣告後のいわゆる再保釈はその効力を失うものと解すべきである。 二 当審の決定 論旨は違憲をいうが、その実質は結局刑訴三四三条の解釈、適用に関する原審の見解(右法条に対する原審の解釈、適用…
事件番号: 昭和57(し)96 / 裁判年月日: 昭和57年9月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】保釈保証金没取決定が確定している場合、当該決定に憲法違反があること等を理由としてさらに不服を申し立てることは不適法である。 第1 事案の概要:東京地方裁判所が申立人に対し、保証書をもって代えることを許された保釈保証金20万円の没取決定をした。これに対し、申立人は抗告および特別抗告を行ったが、いずれ…