刑事補償請求を棄却した地方裁判所の決定に対する特別抗告の適否(消極)
刑事補償法19条1項,刑事補償法19条2項,刑訴法434条
判旨
刑事補償請求を棄却した地方裁判所の決定に対し、直接最高裁判所へ抗告することは、刑事補償法19条2項の要件を欠き不適法である。
問題の所在(論点)
地方裁判所が刑事補償請求を棄却した決定に対し、直接最高裁判所に抗告を申し立てることが、刑事補償法19条2項等の規定に照らして適法か。
規範
刑事補償請求を棄却する決定に対する即時抗告は、刑事補償法19条1項及び2項の規定により、当該決定をした裁判所の直近上級裁判所に対してなされるべきであり、法律に特別の規定がない限り、最高裁判所へ直接申し立てることはできない。
重要事実
抗告人は、地方裁判所がなした刑事補償請求を棄却する決定に不服があり、高等裁判所を経ることなく、最高裁判所に対して直接本件抗告を申し立てた。
あてはめ
刑事補償法19条2項は、抗告手続の管轄等について定めている。本件では、地方裁判所の決定に対し、直接最高裁判所に抗告が申し立てられているが、これは同条が予定する不服申立手続(管轄)の要件を欠いている。したがって、適法な抗告の要件を備えていないと判断される。
事件番号: 昭和49(し)69 / 裁判年月日: 昭和49年7月18日 / 結論: 棄却
在監者の上訴申立に関する刑訴法三六六条一項は、刑事補償請求事件の特別抗告申立には準用ないし類推適用されない。
結論
本件抗告は、刑事補償法19条2項の要件を備えない不適法なものであるため、棄却される。
実務上の射程
刑事補償手続における不服申立(即時抗告)の管轄は専属的であり、三審制の原則に基づき直近上級裁判所へ申し立てる必要があることを確認した事例。答案上は、特別抗告等と異なり、手続法上の管轄を遵守すべき旨を基礎付ける際に参照し得る。
事件番号: 昭和24(つ)84 / 裁判年月日: 昭和24年8月9日 / 結論: 棄却
最高裁判所は、裁判所法第七條により、刑訴應急措置法第一八條所定の抗告のように、訴訟法において特に定める抗告についてだけ裁判權を有するのであるが本件抗告は前記措置法第一八所定の抗告にあたらないこと明白であり他に本件のような抗告を最高裁判所に申立てることを許した法律の規定は存しない。
事件番号: 昭和55(し)33 / 裁判年月日: 昭和55年5月19日 / 結論: 棄却
刑事補償請求事件についてされた即時抗告棄却決定の謄本が、請求人本人と即時抗告申立代理人との双方に日を異にして送達された場合における特別抗告申立の期間は、請求人本人に送達された日から進行する。
事件番号: 平成3(し)62 / 裁判年月日: 平成4年7月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】非行事実が認められないことを理由に保護処分に付さない旨の決定を受けた者に対し、身体の自由の拘束による補償を行わなくても、憲法40条、29条3項、14条に違反しない。 第1 事案の概要:少年法に基づき身体の拘束(鑑別所収容等)を受けた少年に対し、家庭裁判所が非行事実が認められないことを理由として、同…
事件番号: 昭和43(し)105 / 裁判年月日: 昭和43年12月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠調請求却下決定に対する異議申立棄却決定のような、訴訟手続に関し判決前にされた決定は、刑事訴訟法433条1項に規定する特別抗告の対象となる「この法律により不服を申し立てることができない決定」には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人は、裁判所が行った証拠調請求却下決定に対し、異議の申し立てを行っ…