在監者の上訴申立に関する刑訴法三六六条一項は、刑事補償請求事件の特別抗告申立には準用ないし類推適用されない。
在監者による刑事補償請求事件の特別抗告申立と刑訴法三六六条一項の準用の有無
刑訴法366条1項,刑訴法433条,刑事補償法19条2項,刑事補償法23条
判旨
刑事補償請求事件の棄却決定に対する特別抗告において、在監者が抗告期間内に申立書を刑務官に手交しても、刑訴法366条1項の特則(在監者特則)は準用・類推適用されない。
問題の所在(論点)
刑事補償法23条による刑訴法の準用において、在監者が刑事補償請求棄却決定に対する不服申立てを行う際、刑訴法366条1項(在監者特則)が準用または類推適用されるか。
規範
刑事補償請求事件は、刑事処分を受けた本人の刑事手続内における救済を目的とするものではなく、本来の刑事被告事件の上訴申立とは性質を異にする。したがって、在監者の上訴申立に関する刑訴法366条1項(いわゆる在監者特則)は、刑事補償請求事件の特別抗告申立には準用ないし類推適用されない。
重要事実
申立人は刑事補償請求の棄却決定に対し、特別抗告を申し立てようとした。抗告期間(5日)の最終日の前日に、申立人は本件申立書を刑務所の係官に手交したが、原裁判所に受理されたのは期間経過後であった。申立人は、在監者特則の適用により、係官への手交時をもって申立期間内の申立てとみなされるべきだと主張した。
事件番号: 昭和49(し)20 / 裁判年月日: 昭和49年3月20日 / 結論: 棄却
付審判請求事件の特別抗告申立には刑訴法三六六条一項は準用ないし類推適用されない。
あてはめ
刑事補償請求は、無罪判決等を受けた者が被った身体拘束等に対する補償を求める手続であり、被告人の防御権行使を直接の目的とする刑事被告事件そのものではない。このように手続の性質が異なる以上、刑事被告人の上訴権確保を目的とする刑訴法366条1項を適用する基礎を欠く。本件では期間内に係官へ手交しているが、受理が期間後である以上、同条の適用がない限り不適法となる。
結論
刑訴法366条1項の準用・類推適用は否定され、本件申立ては期間経過後のものとして不適法である。
実務上の射程
刑事手続に準ずる手続であっても、それが被告人としての防御や直接の救済を目的としない場合、在監者特則のような刑事手続固有の強い保護規定の適用が否定される判断指針として機能する。
事件番号: 昭和43(し)71 / 裁判年月日: 昭和43年10月31日 / 結論: 棄却
在監者の上訴申立に関する刑訴法第三六六条第一項は、いわゆる審判請求事件についてされた抗告棄却の決定に対し、右請求をした在監者が特別抗告の申立書を差し出す場合には準用ないし類推適用されないものと解すべきである。
事件番号: 昭和45(し)58 / 裁判年月日: 昭和45年9月4日 / 結論: 棄却
在監者の上訴申立に関する刑訴法三六六条一項は、付審判請求事件の特別抗告申立には準用ないし類推適用されない。 (注)同旨の第一小法廷決定がある(昭和四三年(し)第八五号、同年一一月一三日決定、裁判集一六九号三六七頁)。
事件番号: 平成16(し)208 / 裁判年月日: 平成16年10月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法366条1項に規定される在監者の上訴申立てに関する特則(監獄差し出し主義)は、付審判請求には準用も類推適用もされない。 第1 事案の概要:在監者である抗告人が付審判請求を行った際、刑事訴訟法366条1項の類推適用を前提として、監獄の長等への提出時をもって請求期間内の申立てと認められるべき…
事件番号: 昭和45(し)99 / 裁判年月日: 昭和45年12月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求事件の申立棄却決定に対する特別抗告において、在監者が抗告期間内に申立書を監獄の長等に差し出したとしても、刑事訴訟法366条1項のいわゆる在監者特則は準用ないし類推適用されない。 第1 事案の概要:付審判請求を行った申立人は、その請求を棄却する決定を受けたため、特別抗告を申し立てようとした…