公職選挙法138条1項・239条3号(昭和57年法律第81号による改正前のもの)の合憲性
憲法21条,公選法138条1項,公選法239条3号
判旨
公職選挙法138条1項が定める戸別訪問の禁止規定は、憲法21条に違反しない。また、教育者による地位利用の選挙運動を禁じる同法137条についても、憲法の定める法の下の平等や表現の自由、適正手続に違反するものではない。
問題の所在(論点)
公職選挙法による戸別訪問の禁止(138条1項)および教育者の地位利用による選挙運動の禁止(137条)が、表現の自由(憲法21条)その他の憲法規定に違反し、違憲となるか。
規範
選挙の自由と公正を確保するという正当な目的を達成するために、個別の選挙運動の態様を制限することは、その制限が必要かつ合理的である限り、憲法21条に違反しない。
重要事実
被告人が公職選挙法138条1項(戸別訪問の禁止)および同法137条(教育者の地位利用による選挙運動の禁止)に違反したとして起訴された事案である。被告人側は、これらの規定が表現の自由を保障する憲法21条、法の下の平等を定める憲法14条、および適正手続を定める憲法31条に違反し、違憲無効であると主張して上告した。
あてはめ
戸別訪問の禁止については、最大判昭和44年4月23日の先例が示す通り、意見表明の自由を絶対的に制限するものではなく、選挙の公正を害する弊害(買収の誘発や私生活の平穏の侵害等)を防止するための合理的かつ必要な制約である。また、教育者の地位利用の禁止等についても、これまでの判例(昭和56年、59年等)の趣旨に照らせば、憲法14条、21条、31条のいずれにも違反しないことは明らかである。
結論
公職選挙法138条1項、239条3号(現行1項3号)、および137条の各規定は憲法に違反しない。
実務上の射程
選挙運動の自由に対する制限の合憲性を論じる際、本判決が引用する昭和44年大法廷判決の枠組み(必要かつ合理的な制限)を用いる。戸別訪問禁止の違憲主張に対しては、確立された判例法理として合憲の結論を導くための根拠となる。教育者の地位利用制限についても、公務員等の地位利用制限と同様、選挙の公正確保という文脈で活用できる。
事件番号: 昭和45(あ)1432 / 裁判年月日: 昭和45年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法138条1項による戸別訪問の禁止は、表現の自由を保障する憲法21条に違反せず、また憲法13条にも違反しない。 第1 事案の概要:被告人が選挙運動に際し、投票を得る目的で有権者の宅を戸別に訪問したところ、公職選挙法138条1項(戸別訪問の禁止)違反として起訴された。被告人側は、同条が憲法2…