出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律違反事件につき、原判決が誤った新法を適用したとの指摘がなされた事例
出資取締法11条1項1号,出資取締法4条1項,出資取締法8条1項1号
判旨
判決後の法改正によって処罰規定に変更があった場合でも、判決に影響を及ぼすべき明らかな法令違反が認められない限り、最高裁判所は刑訴法411条を適用して原判決を破棄する必要はない。
問題の所在(論点)
旧法を適用すべき事案に対し誤って新法を適用したという法令適用の誤りがある場合に、刑訴法411条により職権で原判決を破棄すべきか。
規範
原判決に法令の適用誤りがある場合であっても、刑訴法411条の職権破棄事由(判決に影響を及ぼすべき明らかな法令の違反)に該当すると認められない限り、上告裁判所は原判決を維持することができる。
重要事実
第一審判決を破棄自判した原判決において、特定の犯行(昭和58年9月9日実施)に対し、本来は改正前の「出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律」を適用すべきところ、誤って新法を適用した。弁護人は憲法31条違反や量刑不当を理由に上告した。
あてはめ
本件では、原判決が昭和58年法律第33号附則5項の経過規定に反して新法を適用したことは法令違反にあたる。しかし、当該違反が判決の結論(量刑等)に決定的な影響を及ぼし、著しく正義に反するとまではいえないため、刑訴法411条を適用して破棄すべきものとは認められない。
事件番号: 昭和42(あ)284 / 裁判年月日: 昭和43年4月16日 / 結論: 棄却
本件起訴状記載の公訴事実を客観的に観察すれば、本件は被告人個人の犯罪行為を起訴した趣旨と解されること所論のとおりであるが、その事実記載の方法および第一審裁判所における審理の経過に徴し、これを被告人が法人の機関としてその業務に関して行なつたものと認定するには、訴因変更の手続を経ることを要しないものと解するのを相当とするか…
結論
本件上告を棄却し、法令適用の誤りはあるものの原判決を維持する。
実務上の射程
法令適用の誤りが形式的に存在する場合でも、直ちに破棄事由にはならないことを示す。実務上は、適用法条の誤りが量刑の枠組みや犯罪の成否に実質的な不利益を与えていない場合に、原判決を維持する論拠として引用できる。
事件番号: 昭和43(あ)182 / 裁判年月日: 昭和44年3月28日 / 結論: 棄却
出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律二条は、憲法三一条に違反しない。
事件番号: 昭和52(あ)1271 / 裁判年月日: 昭和53年7月7日 / 結論: 破棄差戻
一 検察官が控訴をした事件は、たとえその申立理由が被告人に利益なものである場合であつても、刑訴法四〇二条にいう「被告人のため控訴をした事件」にあたらない。 二 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律五条一項違反の罪が反復累行された場合には、特段の事情のない限り、個々の契約又は受領ごとに一罪が成立する。
事件番号: 昭和52(あ)186 / 裁判年月日: 昭和52年10月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】出資法2条の預り金禁止規定および同法11条1項の罰則規定は、憲法29条、13条、14条、22条のいずれにも違反せず、同法2条の規定は不明確とはいえない。 第1 事案の概要:被告人らは、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律(出資法)2条1項、2項に違反して預り金業務を行ったとして起訴され…
事件番号: 昭和42(あ)2086 / 裁判年月日: 昭和43年5月23日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】業務上横領罪の成否に関し、被告人が代金を着服したとする被害者供述に依拠して有罪とした原判決に対し、客観的事実や他の証拠との矛盾を十分に検討しないまま事実認定を行ったことは、判決に影響を及ぼすべき審理不尽の違法があるとして破棄した。 第1 事案の概要:被告人は、Aから乗用車の売却を依頼され、売却代金…