いわゆる連合赤軍事件
判旨
死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反せず、絞首刑による執行も憲法36条に違反しない。量刑に際しては、罪質、動機、態様、結果等の情状に加え、被告人の地位・役割や公判での態度を総合考慮して判断すべきである。
問題の所在(論点)
死刑制度および絞首刑による執行方法が憲法13条(生命の尊重)、31条(適正手続き)、36条(残虐な刑罰の禁止)に違反しないか。また、一連の連合赤軍事件における残虐な犯行態様や多数の被害者、組織内での地位・役割を考慮した死刑判決の量刑が、刑訴法411条の適用を要するほど不当なものか。
規範
死刑制度及び絞首刑による執行の合憲性は、当裁判所の判例(昭和23年3月12日大法廷判決等)により確立しており、憲法13条、31条、36条に違反しない。量刑の妥当性を判断するにあたっては、犯行の罪質、動機、態様、結果等の客観的情状に加え、被告人の本件各犯行における地位・役割、加功の態様・程度、さらには公判等を通じて示している被告人の態度といった主観的情状を総合的に考慮して決定されるべきである。
重要事実
被告人らは、過激派組織「連合赤軍」の結成前後、昭和44年から47年にかけて多数の凶悪犯罪を敢行した。具体的には、銃砲店の襲撃、銀行強盗、ダイナマイトの窃取に加え、組織からの脱走者や「総括」と称して自組織の構成員計14名を殺害・遺棄した。さらに、あさま山荘に立てこもり、警察官や民間人3名を殺害し、多数の殺人未遂傷を負わせた。第一審・控訴審は、これらの事案において中心的な役割を果たした被告人らに対し、死刑(一部は無期懲役)を言い渡したため、被告人側が量刑不当等を理由に上告した。
あてはめ
本件は多数の殺人・殺人未遂を含む極めて重大な犯罪である。犯行の動機は組織の維持・強化を目的とした身勝手なものであり、態様も「総括」と称する組織内殺害や山荘での銃撃など執拗かつ残虐である。結果として多数の尊い生命が失われており、社会的影響も甚大である。被告人らの役割についても、組織の中央委員として殺害を主導し、あるいは積極的に加担したことが認められる。これらの罪質、動機、態様、結果に加え、公判等における被告人の態度を総合的に検討しても、第一審・控訴審の量刑が著しく不当であるとは認められない。
事件番号: 平成16(あ)1687 / 裁判年月日: 平成19年9月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反しない。また、複数の被害者を殺傷した強盗致死等の事案において、殺意の有無、動機、犯行態様の残虐性、結果の重大性を総合考慮し、死刑の選択を是認した。 第1 事案の概要:暴力団関係の紛議等を契機として、被告人は共犯者と共謀し、(1)男性1名を河川に投げ込んで溺…
結論
本件各上告を棄却する。死刑制度の違憲性は否定され、凄惨な犯行実態と被告人の役割に照らした死刑(または無期懲役)の選択は正当である。
実務上の射程
死刑制度の合憲性を前提とした上で、死刑選択の基準(いわゆる永山基準の枠組み)を確認する事例判決。特に、集団による組織的犯罪において、主導的な地位にあった者の刑事責任を重く評価する実務の傾向を裏付ける。答案上は、量刑の判断要素を列挙する際の具体的事実の評価の参考となる。
事件番号: 平成7(あ)450 / 裁判年月日: 平成11年3月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反せず、保険金目的の殺人や口封じのための連続殺人を主導した被告人に対し、犯行の態様、結果の重大性、主導的立場等の諸般の情状を考慮して死刑を選択した原判決を正当とした。 第1 事案の概要:暴力団組長である被告人は、配下の組員らと共謀し、保険金目的でA及びBの殺…
事件番号: 昭和58(あ)1 / 裁判年月日: 平成元年10月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反せず、また検察官による公訴の提起が差別的意図に基づかず訴追裁量を逸脱しない限り、憲法14条、31条に違反することはない。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者らと共謀し、3名の殺害(C、F、Jに対する殺人)、現住建造物等放火未遂、及び約束手形5通の恐喝を行っ…
事件番号: 平成26(あ)1655 / 裁判年月日: 平成28年6月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法31条および36条に違反しない。また、短期間に身勝手な動機から3名を殺害し、放火を伴う残虐な犯行を重ねた場合、未必の殺意や反省等の事情を考慮しても死刑の科刑は免れない。 第1 事案の概要:被告人は、交際相手Aを連れ戻す目的で山形の実家に放火し、Aの両親2名を焼死させた(山形事件)。そ…
事件番号: 昭和57(あ)1761 / 裁判年月日: 昭和62年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】爆発物取締罰則の合憲性、死刑制度の残虐刑該当性、および被告人の訴訟態度等を量刑事情として考慮することの正当性を認めた。 第1 事案の概要:被告人らは、連続企業爆破事件等に関与し、爆発物取締罰則違反や殺人等の罪に問われた。一審および二審において被告人C・Dには死刑、被告人Aには無期懲役が言い渡された…