判例違反の主張が欠前提とされた事例
刑訴法400条
判旨
控訴審において、訴訟記録および第一審の証拠のみに基づき直ちに被告事件の犯罪事実を確定して有罪判決を下すことは、適正な事実認定のあり方に照らして制限されるが、本件ではそのような手続上の瑕疵は認められない。
問題の所在(論点)
控訴審が第一審の証拠および訴訟記録のみに基づき、事実の取調べを経ずに犯罪事実を確定して有罪判決を下すことが、刑事訴訟法上の事実認定のルールに抵触するか。
規範
控訴審において事実の取調べをすることなく、訴訟記録および第一審裁判所において取り調べた証拠のみによって直ちに犯罪事実を確定し、第一審の無罪判決を覆して有罪判決を宣告することは、刑事訴訟法の予定する控訴審の事後審的性格および直接主義・口頭主義の観点から原則として許されない。
重要事実
第一審で無罪判決を受けた被告人に対し、控訴審(原審)が有罪判決を言い渡した。弁護人は、原審が訴訟記録および第一審の証拠のみによって犯罪事実を確定したことは判例に違反し、憲法違反および事実誤認があるとして上告した。
あてはめ
記録に照らすと、原審は訴訟記録および一審の証拠のみによって「直ちに」犯罪事実を確定し有罪判決をしたものではないことが明らかである。したがって、弁護人が主張するような、適切な事実調べを欠いたままの有罪認定という前提自体が欠如している。その余の主張も、実質的には単なる事実誤認の主張にすぎない。
事件番号: 昭和62(あ)114 / 裁判年月日: 昭和62年12月3日 / 結論: 棄却
誤つて公訴事実の同一性のない訴因の追加を許可し、その訴因についての証拠を取り調べた第一審裁判所は、右誤りを是正するために訴因追加の許可及び証拠の採用を各取消決定をすることができる。
結論
原審の判断に判例違反や憲法違反などの上告理由は認められないため、上告を棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟法405条の上告理由(判例違反)を検討する際、控訴審による事実認定の適法性を争う場面で活用される。特に、無罪から有罪への逆転判決における事実調べの要否が問題となる事案の限界事例として参照される。
事件番号: 昭和51(あ)122 / 裁判年月日: 昭和51年5月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不法領得の意思に関し、利用処分意思については、権利者を排除して自己の所有物として振る舞う意思(排除意思)だけでなく、その経済的用法に従い処分する意思(利用処分意思)を必要とする立場を維持したものである。 第1 事案の概要:本件判決文自体からは具体的な事案事実は不明であるが、被告人が弁護人を通じて、…
事件番号: 昭和33(あ)701 / 裁判年月日: 昭和33年6月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴裁判所が事実の取調べをすることなく、訴訟記録と第一審の証拠のみに基づき、第一審の量刑を不当として被告人に不利益に変更することは、憲法および刑訴法に違反しない。 第1 事案の概要:被告人に対し、第一審は懲役1年の判決を言い渡した。これに対し検察官が量刑不当を理由に控訴したところ、控訴審(原審)は…
事件番号: 昭和53(あ)1200 / 裁判年月日: 昭和55年12月4日 / 結論: 棄却
一 刑訴法四〇二条における刑の軽重の比較にあたつては、刑の執行猶予の言渡の有無をも考慮すべきである。 二 第一審が被告人に対し懲役一年の刑を言い渡したのを、第二審が懲役一年六月、三年間執行猶予、保護観察付の刑に変更しても、刑訴法四〇二条に違反しない。
事件番号: 昭和27(あ)6316 / 裁判年月日: 昭和29年4月13日 / 結論: 棄却
控訴審が、第一審判決の量刑不当の主張を理由ありとしてこれを破棄自判するにあたつては、第一審判決の確定した事実に対し法令の適用を示せば足り控訴審として改めて事実を認定するを要しない。