死刑事件(パチンコ景品買強殺事件)
判旨
死刑の選択に当たっては、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、被告人の犯罪歴、反省の程度、生育歴等の諸要素を総合的に考慮し、その責任が極めて重大であって、やむを得ない場合に限られる。
問題の所在(論点)
強盗殺人罪等の量刑において、いかなる場合に死刑の選択が許容されるか。特に、前科(無期懲役・仮出獄中)や殺害態様の残虐性が死刑選択に与える影響が問題となる。
規範
死刑の選択が許されるのは、犯行の罪質、動機、態様(特に殺害方法の執拗性・残酷性)、結果の重大性(殺害された被害者の数等)、遺族の被害感情、社会的影響、被告人の年齢、前科、犯行後の情状等、諸般の事情を併せ考察し、その罪責がまことに重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも死刑の選択がやむを得ないと認められる場合に限られる(永山判決の枠組みを維持)。
重要事実
被告人は、ギャンブルによる借金返済のため、多額の現金を保管している知人の老人(69歳)を殺害し現金を強取しようと計画した。被告人は準備した石塊で被害者の頭頂部を強打し、助けを求める被害者の腹部を蹴り上げた上、とどめとして耳付近を石塊の角で強打して即死させ、約128万円を強取した。被告人には、過去にも強盗殺人で無期懲役に処せられた前科があり、本件はその仮出獄中に敢行されたものであった。
あてはめ
本件は、借金返済という身勝手な動機に基づく計画的犯行であり、罪質は極めて悪質である。殺害態様についても、非力な老人に対し執拗に石塊で打撃を加えるなど残酷である。結果として一人の尊い生命が奪われ、信頼を裏切られた被害者の無念や遺族の深刻な被害感情も考慮すべきである。さらに、強盗殺人の前科による無期懲役の仮出獄中という再犯状況は、被告人の犯罪傾向の深さを示している。反省や生育歴を考慮しても、これらの不利な事情を覆すには足りず、罪責はまことに重大である。
事件番号: 昭和50(あ)189 / 裁判年月日: 昭和53年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に際しては、犯行の動機、態様、残虐性、結果の重大性、社会的影響等の諸般の事情を慎重に考慮し、その刑責が極めて重大であると認められる場合には、死刑を選択することもやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、一人暮らしの老人等を短期間に連続して襲撃した。犯行内容は、1件の強盗、1件の強盗未遂…
結論
被告人の罪責は重大であり、第一審の死刑判決を維持した原判決は、やむを得ないものとして是認できる。上告棄却。
実務上の射程
死刑選択の基準を示した永山基準(最判昭58・7・8)を、被害者が一名の事案においても具体的に適用した例。特に「無期懲役の仮出獄中」という極めて重い前科事情が、被害者が一名であっても死刑を選択する際の重要な加重要素となることを示唆しており、量刑論の起案において重視すべき判断である。
事件番号: 昭和53(あ)1290 / 裁判年月日: 昭和63年6月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択については、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状などの諸事情を併せ考慮し、罪責が極めて重大であって、極刑がやむを得ないと認められる場合に許される。 第1 事案の概要:被告人は、約6年の間に、金欲しさから行きずりの売春婦や男娼を対…
事件番号: 平成9(あ)614 / 裁判年月日: 平成13年12月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗殺人罪で無期懲役の服役後、仮出獄中に再び同様の動機・態様で強盗殺人等を犯した事案において、非社会性人格障害等の事情を考慮しても死刑の選択はやむを得ない。性格的な偏りとしての精神障害は、当然には刑事責任を軽減させる事情とはならない。 第1 事案の概要:被告人は強盗殺人罪により無期懲役に処せられ、…