道路交通法一一八条一項一号は憲法三六条に違反しない。
道路交通法一一八条一項一号と憲法三六条
道路交通法118条1項1号,憲法36条
判旨
道路交通法118条1項1号の罰則規定は、憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」には当たらない。
問題の所在(論点)
道路交通法118条1項1号が定める刑罰の内容が、憲法36条の「残虐な刑罰」に該当し違憲となるか。
規範
憲法36条にいう「残虐な刑罰」とは、不必要な苦痛を伴う人道に反する刑罰を指すが、法律に定められた法定刑が、その犯罪の性質や責任に対して著しく不均衡であり、社会通念上容認できないほど過重なものである場合に限り、同条に違反する可能性がある。
重要事実
上告人は、道路交通法違反(酒気帯び運転等)の罪に問われ、同法118条1項1号の規定に基づき処罰された。弁護人は、同条の定める刑罰が憲法36条の禁止する「残虐な刑罰」に該当すると主張して上告した。
あてはめ
道路交通法118条1項1号の規定は、交通秩序の維持および公共の安全を目的として定められた罰則である。当裁判所の過去の判例(最大判昭23.6.23)の趣旨に照らせば、同規定が定める刑罰の内容は、人道に反するような不必要な苦痛を強いるものとは認められず、また、酒気帯び運転等の危険性に対する社会的非難の程度に比して著しく不均衡であるともいえない。したがって、社会通念上「残虐」と評価されるべき要素は存在しない。
結論
道路交通法118条1項1号は憲法36条に違反しない。
実務上の射程
本判決は憲法36条の解釈に関する極めて限定的な判断を示したものである。答案上では、法定刑の違憲性を論じる際、最大判昭23.6.23を引用しつつ「不必要な苦痛」や「著しい不均衡」の有無を検討する際の補強材料として機能する。
事件番号: 昭和51(あ)882 / 裁判年月日: 昭和51年7月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】道路交通法72条1項後段及び119条1項10号の規定は、憲法38条1項に違反しない。交通事故における警察官等への報告義務は、自己に不利益な供述を強要するものではないとする判例の趣旨が改めて確認された。 第1 事案の概要:被告人は道路交通法違反等に問われ、同法72条1項後段(警察官等への報告義務)及…
事件番号: 昭和54(あ)1199 / 裁判年月日: 昭和54年10月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】道路交通法72条1項後段が定める交通事故発生時の報告義務は、憲法38条1項の自己負罪拒否特権に違反しない。当該義務は、交通事故における適切な処置の確保という行政上の目的のために課されるものであり、刑事責任を追及するためのものではないからである。 第1 事案の概要:被告人が交通事故を起こした際、道路…