選挙に関する文書図画の頒布を規制する公職選挙法の規定が憲法の国民主権主義に反し表現の自由を保障するという主張が、理由なしとして排斥された事例
公選法142条,公選法243条
判旨
選挙に関する文書図画の頒布を規制する公職選挙法の規定は、憲法の国民主権主義に反せず、表現の自由の保障を侵害するものでもない。
問題の所在(論点)
公職選挙法142条1項による選挙に関する文書図画の頒布制限が、憲法21条1項(表現の自由)および国民主権主義に違反するか否か。
規範
選挙の公正を確保し、選挙人の自由な意思決定を保護するための合理的かつ必要最小限度の規制であれば、憲法21条1項の表現の自由、および国民主権の原理に反しない。従前の大法廷判決の趣旨に照らし、文書図画の頒布制限は、公正な選挙という正当な目的達成のための合理的制限として許容される。
重要事実
被告人は、選挙に関する文書図画の頒布を行ったことにより、公職選挙法142条1項違反(および243条1項3号)として起訴された。被告人側は、同法による文書図画の頒布規制が、表現の自由を保障する憲法21条や国民主権主義に違反し、憲法違反の法規に基づく処罰であるとして上告した。
あてはめ
判決文によれば、選挙に関する文書図画の頒布を規制する公職選挙法の規定は、昭和37年11月18日および昭和44年4月23日の各大法廷判決の趣旨に徴して合憲であるとされる。これらの先例は、選挙の公正を保ち、過熱した宣伝活動による弊害を防止するための規制は、公共の福祉による合理的制限の範囲内にあるとしている。本件においても、同様の趣旨に基づき、文書図画の頒布制限は憲法に反しないと判断された。
結論
公職選挙法による文書図画の頒布規制は合憲であり、被告人の上告を棄却する。
実務上の射程
公職選挙法上の戸別訪問禁止や文書図画頒布制限に関する違憲主張に対し、既存の合憲判例を維持・適用する際の簡潔な論拠として活用できる。表現の自由の制約については「公正な選挙の確保」という目的との相関で合理性が判断される。
事件番号: 昭和58(あ)1591 / 裁判年月日: 昭和61年2月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法142条による文書頒布の制限、および同条を適用して処罰することは、憲法21条および31条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が、公職選挙法142条の規定に違反して文書を頒布したとして、同法違反の罪で起訴された事案。被告人側は、同条の規定およびその適用が表現の自由を保障する憲法21条や…