公職選挙法243条3号,142条1項,243条5号,146条1項(昭和57年法律第81号による改正前のもの)の合憲性
憲法15条1項,憲法43条1項,公選法243条3号,公選法142条1項,公選法243条5号,公選法146条1項
判旨
公職選挙法142条1項(文書図画の頒布制限)及び146条1項(文書図画の頒布の禁止免脱)の規定は、憲法前文、15条1項、43条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
公職選挙法142条1項(通常葉書等以外の文書図画の頒布禁止)及び同法146条1項(制限を免れる目的での文書図画の頒布禁止)による選挙運動の制限が、憲法15条1項(公務員選定罷免権)等に違反し違憲か否か。
規範
選挙の公正を確保し、不当な競争を防止するための選挙運動の制限は、公共の福祉による必要かつ合理的な範囲内である限り合憲である。特に、文書図画の頒布に関する制限は、金権選挙の防止や選挙の浄化を目的とするものであり、憲法の認める公正な選挙制度の趣旨に反しない。
重要事実
被告人は、公職選挙法(昭和57年改正前)により制限されている文書図画の頒布行為を行い、同法142条1項、146条1項に違反するとして起訴された。被告人側は、これらの規定が国民の参政権(憲法15条1項、43条1項)や国民主権の原理(憲法前文)に違反し、選挙運動の自由を不当に侵害するものであると主張して上告した。
あてはめ
最高裁判所の判例(昭和30年4月6日大法廷判決等)の趣旨に照らせば、公職選挙法による文書図画の頒布制限は、選挙の公正と平等を維持するために必要かつ合理的な制限といえる。本件における各規定は、無制限な文書頒布による費用の増大や不公正な世論形成を防止するものであり、憲法が予定する民主的な選挙制度を維持する目的に合致する。したがって、これらの制限は憲法の許容する範囲内であると解される。
結論
公職選挙法142条1項、146条1項、243条3号・5号は憲法に違反しないため、上告を棄却する。
実務上の射程
選挙運動の自由に対する制約の合憲性に関する判例。本決定自体は短い棄却判決であるが、昭和30年・39年・44年の大法廷判決の系譜を維持している。答案上は、LRAの基準に近い厳格な審査を求める見解もあるが、判例は一貫して「必要かつ合理的」な制限として公職選挙法の形式的制限を広範に認めている点に注意して記述する。
事件番号: 昭和44(あ)207 / 裁判年月日: 昭和44年6月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法142条による文書頒布の制限は、選挙の公正を確保するための合理的な制限であり、憲法15条1項および21条に違反しない。 第1 事案の概要:上告人が、公職選挙法142条の規定に違反して文書を頒布したとして起訴された事案。弁護人は、同条による文書頒布の制限が、参政権を保障する憲法15条1項お…