双方から上告があつて未決誤算入部分を破棄する場合における主文の表示方法
刑訴法396条,刑訴法414条
判旨
被告人側による控訴に基づき控訴審が第一審判決を破棄する場合、控訴申立後の未決勾留日数は刑訴法495条2項2号により当然に全部算入される。そのため、裁判所が刑法21条に基づき裁量によりその一部を算入する旨を言い渡すことは、法令適用を誤った違法なものとなる。
問題の所在(論点)
被告人側が控訴し、控訴審が第一審判決を破棄する場合において、控訴申立後の未決勾留日数を刑法21条に基づき「裁判所の裁量」によって算入することの可否(刑訴法495条2項2号との関係)。
規範
被告人側が控訴を申し立てた場合における控訴申立後の未決勾留日数は、刑訴法495条2項2号により、判決確定時に当然に全日数が本刑に通算される。したがって、この場合においては、裁判所には日数を本刑に通算するか否かの裁量権がゆだねられておらず、刑法21条を適用してその全部又は一部を算入する旨の言渡しをすべきではない。
重要事実
被告人は恐喝未遂罪で起訴され、第一審で懲役1年の判決を受けた。第一審弁護人が控訴を申し立て、控訴審(原審)は第一審判決を破棄して懲役8月を言い渡したが、その際、刑法21条に基づき「控訴審における未決勾留日数中60日を算入する」との裁量による未決勾留算入の言渡しを行った。
あてはめ
本件では第一審弁護人が控訴を申し立て、原審はこれを理由に第一審判決を破棄している。この場合、控訴申立後の未決勾留日数は刑訴法495条2項2号の要件を満たすため、判決確定により法律上当然に全日数が通算される。それにもかかわらず、原審が刑法21条を適用して一部(60日)のみを算入すると判示したことは、本来裁量の余地がない事項について裁量を行使したものであり、同条の適用を誤ったといえる。
結論
原判決のうち、未決勾留日数の一部を刑に算入した部分は破棄されるべきである。
実務上の射程
実務上、刑訴法495条により当然に通算されるべき日数は判決主文に掲げる必要がない。答案上、刑法21条の裁量算入と刑訴法495条の法定通算の峻別を問う問題(特に訴訟手続の適法性や判決の違法性)において、裁量権の有無を判断する枠組みとして活用する。
事件番号: 昭和37(あ)973 / 裁判年月日: 昭和39年10月27日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】未決勾留期間が別罪の懲役刑の執行と重なる場合、その期間は刑の執行としての拘禁のみが存在するものと解され、刑法21条に基づき本刑に算入することは許されない。 第1 事案の概要:被告人は、第一審で罪1(懲役1年2月)、罪2(懲役8月)、罪3(懲役2月)の判決を受けた。被告人は全部控訴したが、後に罪3の…
事件番号: 平成25(あ)507 / 裁判年月日: 平成25年11月19日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】控訴審が被告人の控訴に基づき第一審判決を破棄する場合、控訴申立後の未決勾留日数は刑訴法495条2項2号により当然に全日本刑に通算されるため、裁判所に裁量的算入の余地はない。したがって、刑法21条を適用して未決勾留日数の一部を算入する旨を判決で言い渡すことは、法令適用を誤った判例違反である。 第1 …