公職選挙法一二九条の規定が憲法二一条に違反しないとされた事例
憲法21条,公選法129条
判旨
公職選挙法129条による選挙運動期間の制限は、選挙の公正を確保し、不当な競争を防止する目的から、表現の自由を保障した憲法21条に違反しない。
問題の所在(論点)
公職選挙法129条が、選挙運動を公示・告示日から投票日の前日までの期間に限定し、期間外の選挙運動を禁止していることが、憲法21条の表現の自由を侵害し違憲となるか。
規範
選挙運動の自由は憲法21条により保障されるが、無制限ではなく、選挙の公正の確保や過当競争の防止といった正当な目的のために必要かつ合理的な範囲での制限は、同条に違反しない。
重要事実
被告人らは、公職選挙法129条が定める選挙運動期間外に選挙運動を行ったとして同法違反で起訴された。これに対し、被告人側は、同条の規定が表現の自由を保障する憲法21条に違反し違憲であると主張して上告した。
あてはめ
判決文には詳細なあてはめは記載されていないが、先行する大法廷判決(昭和44年4月23日)を引用し、選挙運動期間の制限は、選挙の平穏と公正を保ち、財力等による不当な競争を排除する公共の福祉に資するものと解される。したがって、本件被告人らによる期間外の選挙運動に対する処罰は、合憲な制限に基づくものである。
結論
公職選挙法129条の規定は憲法21条に違反せず、同条に基づく有罪判決は正当である。
実務上の射程
選挙運動の自由に対する時間的制限(戸別訪問禁止、文書頒布制限等も含む)の合憲性を検討する際の「目的が正当で、手段が合理的かつ必要最小限か」という枠組みの前提として活用できる。本判決は大法廷判決を再確認するものであり、実務上、選挙運動期間制限の合憲性は確立されたものとして扱われる。
事件番号: 昭和40(あ)1297 / 裁判年月日: 昭和41年4月21日 / 結論: 棄却
弁護人遊田多聞の上告趣意第二点は、公職選挙法第一二九条、第二三九条の各規定は、憲法第三一条に違反し、同第九八条第一項によつて無効であると主張するが、公職選挙法における選挙運動の意義が所論の如く不明確であるとはいえないし、同第一二九条はこの選挙運動を一定の期間においてのみなすことを許し、同第二三九条はこれに違反した者を処…
事件番号: 令和5(あ)976 / 裁判年月日: 令和5年11月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法129条(事前運動の禁止)及び142条1項(文書図画の頒布制限)の規定は、憲法21条(表現の自由)及び31条(適正手続)に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が、公職選挙法129条が禁じる選挙運動期間前の運動(事前運動)及び同法142条1項が禁じる法定外の文書図画の頒布を行ったとして、…