いわゆる養護学校義務制に関する原判決の憲法解釈の誤りをいう論旨が実質単なる法令違反の主張とされた事例
学校教育法22条,憲法26条
判旨
学校長が管理権に基づき立入りを禁止した校内に、反対運動の目的で門扉を乗り越えて侵入する行為は、動機や目的が正当であったとしても、手段の相当性を欠き正当行為として違法性が阻却されることはない。
問題の所在(論点)
養護学校義務制に反対するという正当な動機・目的がある場合において、学校長の意思に反して校内に侵入する行為が、刑法130条前段の建造物侵入罪の違法性を欠く正当行為(刑法35条)にあたるか。
規範
特定の社会的・政治的目的を持って行われた行為であっても、管理権者の明示的な意思に反して建造物に侵入する行為が正当行為(刑法35条)として違法性を阻却されるためには、その動機・目的が正当であるだけでなく、手段・方法においても社会通念上相当な範囲内にあることが必要である。
重要事実
被告人は、いわゆる養護学校義務制に反対する運動に従事していた。その過程において、東京都足立区立A小学校の学校長が、学校管理権に基づき被告人の立入りを禁止していたにもかかわらず、同校の門扉を乗り越えて校内に侵入した。
あてはめ
被告人の動機・目的が養護学校義務制反対という教育上の理念に基づくものであったとしても、学校長が管理権に基づき明確に立入りを禁止している状況下で、門扉を乗り越えて強行的に侵入するという手段は、学校の平穏および管理権を著しく侵害するものである。このような態様による侵入は、手段としての相当性を欠いており、社会通念上許容される範囲を逸脱していると評価される。
事件番号: 昭和27(あ)2037 / 裁判年月日: 昭和28年2月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】建造物侵入罪(刑法130条前段)の成否について、特定の政治的・社会的な事情があっても、当該行為を正当化することはできず、違法性が阻却されないことを示した。 第1 事案の概要:被告人らは、特定の政治的または社会的な目的(詳細は判決文からは不明)に基づき、本件建造物への侵入行為に及んだ。被告人側は、上…
結論
被告人の行為は建造物侵入罪の構成要件に該当し、正当行為として違法性が阻却されることもないため、有罪とした原判断は正当である。
実務上の射程
本判決は、公的施設の管理権と表現・運動の自由が衝突する場面において、手段の相当性(特に物理的な平穏侵害の有無)を重視する実務上の傾向を裏付けるものである。司法試験においては、正当行為の検討に際し、目的の正当性のみならず手段の必要性・相当性を厳格に判断する際の基準として活用できる。
事件番号: 昭和26(れ)1952 / 裁判年月日: 昭和27年1月17日 / 結論: 棄却
原判決が証拠に基き適法に確定したところによれば、被告人の本件侵入行為は団体交渉のためではなく、被告人の属するA労働組合でない他の組合である判示B化学工業株式会社D工業所の労働組合の争議に対する激励のためのデモ敢行のためであり、また、本件工場内にはいわゆる賠償工場に指定されているものも点在し前日における再三に亘るデモ隊の…
事件番号: 昭和28(あ)2710 / 裁判年月日: 昭和30年4月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】大学内で行われた学生運動に伴う建造物侵入等の行為は、学問の自由や大学の自治を理由に当然に違法性が阻却されるものではなく、刑事罰の対象となり得る。 第1 事案の概要:被告人らは、レッドパージによる教授追放に反対する学生運動の一環として、大学の建造物に立ち入り、建造物侵入罪等に問われた。弁護側は、本件…