検察官の冒頭陳述中の被告人の余罪に関する部分が冒頭陳述として相当でないとされた事例
刑法9条,刑法199条,刑法240条,刑訴法296条,刑訴法411条2号
判旨
検察官による冒頭陳述の内容が不相当であっても、直ちに判決に影響を及ぼすべき法令違反となるわけではない。
問題の所在(論点)
検察官の冒頭陳述において不相当な内容が含まれていた場合、それが判決に影響を及ぼすべき法令違反となるか。また、余罪を処罰する趣旨の量刑の有無が争点となった。
規範
検察官による冒頭陳述の内容が刑事訴訟法上不相当である場合であっても、それが直ちに判決に影響を及ぼすべき法令違反(刑事訴訟法405条等)を構成するものではない。
重要事実
被告人が自白の任意性や補強証拠の存否、量刑不当等を理由に上告した事案。弁護人は、検察官の冒頭陳述の中に不適切な部分があり、また原判決が余罪を処罰する趣旨で量刑を行ったことが判例違反にあたると主張した。
あてはめ
最高裁は、本件における検察官の冒頭陳述の一部について「冒頭陳述として相当ではない」と指摘した。しかし、その不相当な記載があることをもって、直ちに「判決に影響を及ぼすべき法令違反」とまではいえないと判断した。また、原判決の判文から、指摘された余罪を処罰する趣旨で量刑が行われた事実は認められないとした。
結論
検察官の冒頭陳述の一部が不相当であっても、本件では判決に影響を及ぼすべき法令違反とはいえず、上告を棄却した。
実務上の射程
検察官の冒頭陳述の限界に関する判断枠組みを提供する。冒頭陳述は、裁判所に証拠の関連性を理解させるための訴訟行為であり、その内容が不当な偏見を与えるなどの不適切な点を含む場合でも、直ちに違法として破棄理由になるわけではないことを示す。答案上では、冒頭陳述の逸脱が認められる際の「判決に及ぼす影響」の有無を判断する際の参照先となる。
事件番号: 昭和25(れ)1525 / 裁判年月日: 昭和25年12月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白が拷問等の不当な手段により得られた疑いがある場合であっても、自白以前の否認供述等が任意になされたものであり、かつその内容が判決の結論に影響を及ぼさない場合には、自白の任意性の有無にかかわらず判決に影響はない。 第1 事案の概要:被告人は殺人事実について第一回から第四回までの聴取書作成時…