いわゆる牟礼事件第七次再審請求事件
判旨
再審請求における「明らかな証拠」(刑訴法435条6号)の判断について、原決定が特定の不当な見解に立っていない限り、単なる法令違反や事実誤認の主張は特別抗告の理由に当たらない。
問題の所在(論点)
刑訴法435条6号の「無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したとき」に該当するか否かの判断手法について、憲法違反や判例違反等の特別抗告理由(同法433条)が認められるか。
規範
刑事訴訟法435条6号にいう「明らかな証拠」か否かの判断方法について、具体的な規範の内容は本決定文からは直接判示されていないが、再審理由の有無に関する原決定の判断プロセスに憲法違反や判例違反(刑訴法433条)が認められない限り、最高裁は実質的な法令違反や事実誤認の主張を理由として抗告を認めることはない。
重要事実
本件は、刑訴法435条6号に基づき再審請求を行った抗告人が、原決定(再審請求を棄却したものと推認される)に対し、憲法31条・32条違反、判例違反、法令違反、事実誤認を理由として特別抗告を行った事案である。抗告人は、原決定が「明らかな証拠」の判断方法について誤った見解に立っていると主張した。
あてはめ
最高裁は、抗告人が主張する判例違反について、引用された判例は事案を異にし適切ではないと判断した。また、憲法違反の主張についても、その実質は単なる法令違反や事実誤認の主張にすぎないと指摘した。さらに、原決定が「明らかな証拠」の判断方法につき抗告人が指摘するような不当な見解に立っているとは認められないため、抗告人の主張は前提を欠くと判断した。
結論
抗告人の主張はいずれも刑訴法433条の抗告理由にあたらないため、本件抗告を棄却する。
事件番号: 昭和28(し)74 / 裁判年月日: 昭和29年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対しては、法律により特に許された場合を除き、直接抗告を申し立てることはできない。また、特別抗告として申し立てる場合であっても、その理由が再審事由等の法定された事由に該当しない限り不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、旧刑事訴訟法510条に基づき、最高裁判所に対して即時抗告を申し立…
実務上の射程
白鳥事件(最判昭50.9.22)や財田川事件(最判昭51.10.12)が示した「疑わしきは被告人の利益に」という原則を再審請求に適用する「白鳥・財田川裁定」の枠組みを前提とした上での、特別抗告審における憲法違反・判例違反の有無の審査のあり方を示すものといえる。
事件番号: 昭和47(し)75 / 裁判年月日: 昭和47年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反を主張する抗告であっても、その実質が単なる法令違反や事実誤認の主張に帰する場合には、適法な抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:申立人本人が憲法76条3項違反を、弁護人が憲法36条および38条違反を主張して抗告を申し立てた事案である。しかし、それらの主張は具体的・実質的には原審の事実…
事件番号: 昭和40(し)18 / 裁判年月日: 昭和43年4月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求の手続きにおいて、旧刑訴法509条に従い書面によって請求人および検察官の意見を求めた場合には、憲法31条に違反しない。また、自白の任意性・真実性を欠くという主張が再審事由に該当しない旨の判断は、適法な特別抗告の理由にはならない。 第1 事案の概要:請求人は、再審請求を棄却した原決定に対し、…
事件番号: 昭和30(し)3 / 裁判年月日: 昭和30年3月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】予審主任判事がその後の公判や裁判に関与することは、直ちに憲法違反とはならず、また特別抗告の適法な理由にも当たらない。 第1 事案の概要:被告人が、予審終結決定を行った予審主任判事が原審の公判および裁判に関与したことを不服として、憲法違反を理由に即時抗告(特別抗告)を申し立てた事案。 第2 問題の所…
事件番号: 昭和32(し)49 / 裁判年月日: 昭和32年10月23日 / 結論: 棄却
再審請求人が裁判所の求意見に対し現実に意見書を提出した場合のみならず、裁判所が再審を請求した者に対し意見を求め、且つその意見の申述につき相当期間をおいたにも拘らず、請求人から遂に意見を申述しなかつた場合も、刑訴規則二八六条にいう意見を聴いた場合に該る。