死刑事件(東村山警察官強殺事件)
判旨
死刑制度は憲法36条にいう残虐な刑罰に当たらない。量刑に当たっては、犯行の罪質、動機、態様、結果、遺族の被害感情、社会的影響、被告人の前科等を総合考慮し、その罪責が極めて重大な場合には死刑の選択も許容される。
問題の所在(論点)
死刑制度の合憲性(憲法36条)、および強盗殺人罪等の事案における死刑選択の可否(量刑の妥当性)。
規範
死刑の選択については、犯行の罪質、動機、態様(特に殺害方法の執拗性・残虐性)、結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、遺族の処罰感情、社会的影響、被告人の年齢、前科、犯行後の情状等、諸般の事情を総合的に考慮し、その罪責が誠に重大であって、罪罰の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむを得ないと認められる場合に限り、これを選択することができる。
重要事実
被告人は、多額の住宅資金等を得る目的で大物政治家の家族を誘拐する計画を立て、その犯行に用いる拳銃を強奪するため、派出所に勤務中の警察官を殺害した。被告人はあらかじめ着衣に物入れを自作し、下見を重ねるなど周到に準備した上、被害者を外におびき出し、背後から鉄棒で乱打しナイフで刺殺するという残虐な方法で実行した。被告人には強盗傷人罪等の前科があり、本件は執行猶予中の犯行であった。
あてはめ
まず、犯行の動機は身勝手で酌量の余地がない。態様についても、確定的殺意に基づき、鉄棒で30箇所以上乱打した上でナイフで突き刺すなど卑劣かつ残忍である。また、勤務中の警察官を殺害したという結果は重大であり、地域社会に与えた衝撃も大きい。さらに、強盗傷人罪の前科があり執行猶予中であるという被告人の属性を考慮すると、生育歴等の事情を最大限考慮しても、刑事責任は極めて重大であるといえる。
結論
事件番号: 平成12(あ)1160 / 裁判年月日: 平成16年12月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、36条に違反せず、強盗殺人事件において主導的な役割を果たし、犯行態様が冷酷かつ結果が重大である場合、共犯者の刑罰との均衡を考慮しても死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人はバカラ賭博の借金返済に窮し、共犯者と共謀して貴金属販売業者の男性と交際相手の女性を殺害して…
本件における死刑の科刑は、罪罰の均衡および一般予防の観点からやむを得ないものとして是認される。したがって、死刑を維持した原判決に不当な点はない。
実務上の射程
死刑選択の判断枠組みを示した「永山基準」(最高裁昭和58年判決)を踏襲し、具体的な判断要素を列挙して当てはめる実務慣行を再確認したものである。答案作成上は、列挙された諸要素(特に結果、態様、動機)に事実を振り分け、罪責の重大性を論証する際の雛形となる。
事件番号: 平成6(あ)341 / 裁判年月日: 平成10年9月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条等に違反せず、強盗殺人未遂の事案であっても、計画性、残虐性、結果の重大性に鑑み、永山基準に照らして死刑の選択が許容される。 第1 事案の概要:被告人は、銀行強盗用の拳銃を奪う目的で、深夜の派出所を狙い、レンタカーやサバイバルナイフ、軍手等を用意する周到な準備をし…
事件番号: 平成19(あ)1317 / 裁判年月日: 平成20年9月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑が適当であるとされるためには、犯行の性質、動機、態様、特に殺害の手段方法の執拗性・残虐性、結果の重大性、特に殺害された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等、諸般の事情を併せ考察し、その罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡の観点からも、一般予防の観点からも…
事件番号: 平成16(あ)1687 / 裁判年月日: 平成19年9月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反しない。また、複数の被害者を殺傷した強盗致死等の事案において、殺意の有無、動機、犯行態様の残虐性、結果の重大性を総合考慮し、死刑の選択を是認した。 第1 事案の概要:暴力団関係の紛議等を契機として、被告人は共犯者と共謀し、(1)男性1名を河川に投げ込んで溺…