死刑の量刑が維持された事例(福岡会社社長ら強盗殺人等事件)
判旨
死刑制度は憲法13条、36条に違反せず、強盗殺人事件において主導的な役割を果たし、犯行態様が冷酷かつ結果が重大である場合、共犯者の刑罰との均衡を考慮しても死刑の選択はやむを得ない。
問題の所在(論点)
首謀者として2名を殺害し、複数の重大犯罪を主導した被告人に対し、共犯者が無期懲役であることや被告人の反省等の事情を考慮しても、死刑を選択することが量刑の均衡を失し、憲法13条、36条等に違反しないか。
規範
死刑の選択が許容されるかは、犯行の性質、動機、態様(特に殺害方法の執拗さや残虐性)、結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が誠に重大であって、罪罰の均衡及び一般予防の見地からもやむを得ないといえる場合に限定される(いわゆる永山基準)。
重要事実
被告人はバカラ賭博の借金返済に窮し、共犯者と共謀して貴金属販売業者の男性と交際相手の女性を殺害して金品を強取することを計画。被告人は首謀者として、拳銃による射殺や窒息死という方法で2名を殺害し死体を遺棄した。また、前後して拳銃を用いた強盗致傷や警察官に対する殺人未遂事件も主導した。被告人は謝罪の念を示しており、共犯者の刑は無期懲役であった。
あてはめ
まず、動機は賭博の借金返済であり酌量の余地がない。態様は拳銃やガムテープを用いた冷酷、非情、残虐なものであり、2名の生命を奪った結果は極めて重大である。また、パトロールカーへの発砲など他の犯行も危険性が高い。被告人はこれら一連の犯行を指示命令する首謀者の立場にあり、共犯者が無期懲役であることを考慮しても、被告人の主導的役割と罪質、社会的影響の大きさに照らせば、その罪責は誠に重大である。
結論
事件番号: 平成11(あ)591 / 裁判年月日: 平成16年9月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度およびその執行方法は憲法13条、31条、36条に違反しない。死刑の選択にあたっては、罪質、動機、犯行態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮し、その責任が極めて重大であると認められる場合に許容される。 第1 事案の概要:被告人両名は共犯者…
被告人の罪責は極めて重く、死刑の科刑はやむを得ないものとして是認される。
実務上の射程
死刑適用における「永山基準」の枠組みを再確認し、特に「共犯者との刑の均衡」よりも「主導的立場(役割の重さ)」や「犯行の残虐性・多発性」が重視されることを示す事例として、量刑論の論述で活用できる。
事件番号: 平成14(あ)317 / 裁判年月日: 平成18年2月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反せず、2名の生命を奪った計画的かつ残忍な犯行において、被告人の役割が中心的であれば、酌むべき情状を考慮しても死刑を選択することはやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は共謀の上、(1)知人男性を車内で絞殺して死体をコンクリートで固めて遺棄し、(2)その2…
事件番号: 昭和56(あ)1211 / 裁判年月日: 昭和62年10月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法36条にいう残虐な刑罰に当たらない。量刑に当たっては、犯行の罪質、動機、態様、結果、遺族の被害感情、社会的影響、被告人の前科等を総合考慮し、その罪責が極めて重大な場合には死刑の選択も許容される。 第1 事案の概要:被告人は、多額の住宅資金等を得る目的で大物政治家の家族を誘拐する計画を…
事件番号: 平成8(あ)826 / 裁判年月日: 平成13年9月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択が許容されるか否かの判断においては、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が誠に重大であって、極刑の選択がやむを得ないといえる場合に限られる。 第1 事案の概要:被告人は、交際相手への送金等の資金に窮し…
事件番号: 平成16(あ)1687 / 裁判年月日: 平成19年9月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反しない。また、複数の被害者を殺傷した強盗致死等の事案において、殺意の有無、動機、犯行態様の残虐性、結果の重大性を総合考慮し、死刑の選択を是認した。 第1 事案の概要:暴力団関係の紛議等を契機として、被告人は共犯者と共謀し、(1)男性1名を河川に投げ込んで溺…