いわゆる東北電々ビルビラ貼り事件
刑法260条
判旨
刑法260条の建造物損壊罪における「損壊」の意義について、判例は、対象物の効用を喪失させる行為を指すと解しており、本決定は当該解釈適用の誤りを主張する上告を排斥したものである。
問題の所在(論点)
刑法260条の建造物損壊罪における「損壊」の意義、および同条の解釈適用が憲法31条(適正手続・罪刑法定主義)に違反するか否か。
規範
刑法260条前段の「損壊」とは、建造物またはその付随物の重要な一部を損壊し、その効用を喪失させることをいう。物理的な毀損に至らなくとも、その物の本来の用途に従った利用を不可能または著しく困難にする行為もこれに含まれる。
重要事実
本件の上告理由書及び決定文からは具体的な犯行態様(どのような建造物に対し、どのような行為を行ったか)の詳細は不明であるが、被告人らが刑法260条の建造物損壊罪等に問われ、その解釈適用を不服として上告した事案である。
あてはめ
最高裁判所は、被告人側の主張する憲法31条違反や判例違反の主張について、その実質は単なる刑法260条の解釈適用の誤りをいう法令違反にすぎないと判断した。具体的なあてはめの過程は判決文からは不明であるが、原判決が維持されたことから、被告人らの行為が建造物の効用を害する「損壊」に該当すると認定された判断が是認されたものといえる。
結論
本件各上告を棄却する。刑法260条の解釈適用に関する主張は刑訴法405条の上告理由に当たらない。
実務上の射程
建造物損壊罪における「損壊」の概念は広く解されており、物理的破壊だけでなく、心理的・機能的な効用喪失も含まれる。実務上は、建物へのビラ貼りや落書き等が、その外観や管理の容易性という効用をどの程度侵害したかという観点から、本罪の成否を論じる際の前提となる。
事件番号: 昭和58(あ)1072 / 裁判年月日: 昭和61年7月18日 / 結論: 棄却
被告人所有の建物につき根抵当権の設定を受けた甲が抵当権実行の結果自らこれを競落して、同人に対する所有権移転登記が経由された後、執行官が右建物につき不動産引渡命令の執行をしようとした際、被告人が同建物の損壊に及んだ等の判示の事実関係の下では、たとえ被告人が右根抵当権設定の意思表示は甲の側の詐欺によるものとしてこれを取り消…