一 刑法二〇八条の二の規定に関する憲法二一条、三一条違反の主張が欠前提とされた事例 二 刑法二〇八条の二にいう「集合」の状態の継続と兇器準備集合罪の継続 三 兇器準備集合罪の成否につき職権判断を示した事例
刑法208の2,憲法21条,憲法31条
判旨
凶器準備集合罪(刑法208条の2)は、個人の生命、身体、財産のほか公共的な社会生活の平穏をも保護法益とし、「集合」の状態が継続する限り、同罪は継続して成立する(継続犯)。
問題の所在(論点)
凶器準備集合罪(刑法208条の2)の罪質は、状態犯か継続犯か。また、同罪の保護法益をどのように解すべきか。
規範
凶器準備集合罪(刑法208条の2)の保護法益は、個人の生命、身体、財産といった個人的法益のみならず、公共的な社会生活の平穏という公共的法益をも包含する。そのため、同罪にいう「集合」の状態が継続する限り、当該犯罪は継続して成立するもの(継続犯)と解すべきである。
重要事実
被告人らが、他者に対して危害を加える目的で凶器を準備して集合した。当該集合状態は、体育館内等の特定の場所にとどまらず、一定の場所的・時間的連続性をもって継続していた。弁護側は、構成要件の不明確性や、体育館内での行為を同罪に含めることの不当性を主張して上告した。
あてはめ
本罪の保護法益には「社会生活の平穏」が含まれる。これを前提とすれば、特定の場所への集合が完了した時点で直ちに犯罪が終了する(状態犯)と解するのは相当ではない。被告人らによる「集合」の状態が体育館内を含め時間的・場所的に維持されている以上、その間は公共的平穏への危険が継続しているといえる。したがって、集合状態の継続を捉えて一罪の継続犯として成立するとした原判決の判断は正当である。
事件番号: 昭和56(あ)235 / 裁判年月日: 昭和57年3月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法208条の2第1項(凶器準備集合罪)は、処罰の実質的根拠があり、その規制範囲が広汎すぎたり不明確であったりするとはいえず、憲法31条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人らは、凶器準備集合罪(刑法208条の2)の規定が、処罰の実質的根拠に乏しく、規制範囲が広汎かつ不明確であると主張して、憲法…
結論
凶器準備集合罪は継続犯であり、集合状態が継続する限り成立する。したがって、体育館内における所為を含めて同罪の成立を認めた判断は相当である。
実務上の射程
集合状態の継続性を認めることで、一連の行動を包括して一罪と評価するための理論的根拠となる。答案上は、罪数論における「一個の行為」の判断や、共犯の途中関与(承継的共同正犯)の可否を検討する際の前提(継続犯か否か)として活用できる。また、本罪の保護法益に公共的法益が含まれる点は、他の公共の安全を害する罪との親和性を示す際に重要となる。
事件番号: 昭和55(あ)1608 / 裁判年月日: 昭和58年6月23日 / 結論: 棄却
一 兇器準備集合罪は、個人の生命、身体又は財産ばかりでなく、公共的な社会生活の平穏をも同様に保護法益とするものである。 二 兇器準備集合罪はいわゆる抽象的危険反であつて、いわゆる迎撃形態の兇器準備集合罪が成立するためには、必ずしも相手方からの襲撃の蓋然性ないし切迫性が客観的状況として存在することは必要でなく、兇器準備集…
事件番号: 昭和49(あ)1475 / 裁判年月日: 昭和50年2月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁論の併合および分離の範囲は、受訴裁判所の合理的な裁量的判断によって決せられるべき事柄である。 第1 事案の概要:第一審において、いわゆる分割審理(同一事件の被告人らや関連事件を分離して審理すること)が行われた。これに対し弁護人は、かかる審理方式が憲法37条(迅速な裁判、証人尋問権等)や憲法31条…