刑法二四〇条前段所定の法定刑が重きに失して憲法一四条に違反するとの主張が欠前提(立法政策)とされた事例
憲法14条、刑法240条前
判旨
刑法240条前段(強盗致傷罪)に定められた法定刑は、立法政策の範囲内にとどまるものであり、憲法14条に反しない。
問題の所在(論点)
刑法240条前段(強盗致傷罪)が定める法定刑は、憲法14条の法の下の平等に反し違憲といえるか。
規範
刑罰規定の法定刑が憲法14条に違反するか否かは、その刑の軽重が立法政策の範囲内にとどまるか、あるいは合理的な理由なく著しく不均衡であるかによって判断される。強盗致傷罪のように重大な法益侵害を伴う犯罪に対し、一定の重い法定刑を課すことは、立法府の裁量の範囲内に属する。
重要事実
被告人が強盗致傷罪(刑法240条前段)に問われた事案において、弁護人は、同条に定められた法定刑が不当に重く、憲法14条の法の下の平等に違反する旨を主張して上告した。
あてはめ
最高裁判所は、刑法240条前段に対して所定のような法定刑を定めることは立法政策の範囲内にとどまる問題であると判断した。これは、強盗という重大な犯罪に伴って負傷という結果が発生した場合、その罪責の重さに応じて厳しい罰則を設けることには合理的な根拠があり、差別的な取扱いにあたらないことを示すものである。
結論
刑法240条前段の強盗致傷罪の法定刑は憲法14条に違反しない。
実務上の射程
法定刑の違憲性が争われる際のリーディングケースの一つ。答案上では、強盗致傷罪の法定刑の重さを前提とした議論において、立法裁量の広さを根拠に合憲性を肯定する際の論拠として用いることができる。
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