刑訴法三九三条一項本文、二項、三九四条、四〇〇条但書は憲法三一条、三二条、三七条二項に違反するとの主張が欠前提(立法政策)とされた事例
憲法31条,憲法32条,憲法37条2項,刑訴法393条,刑訴法394条,刑訴法400条但
判旨
控訴審においていかなる事項を審判対象とするかは立法政策の問題であり、刑事訴訟法が控訴審を事後審として設計していることは憲法31条、32条、37条2項に違反しない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法が控訴審を続審(一審の審理を継続する構造)ではなく事後審(一審判決の当否を検証する構造)として規定していることは、憲法31条、32条、37条2項に違反するか。
規範
憲法は控訴審の具体的な構造を直接規定しておらず、控訴審においてどのような事項を審判の対象とし、どのような手続を定めるかは、憲法の理念を逸脱しない限り、広範な立法政策の裁量に委ねられている。
重要事実
上告人は、刑事訴訟における控訴審のあり方について、憲法31条(適正手続)、32条(裁判を受ける権利)、37条2項(証人喚問権等)に違反する旨を主張して上告を申し立てた。本件判決文からは具体的な原因事件の事実は不明であるが、実質的には控訴審が事後審制を採用し、事実調べが制限されていること等の制度的制約を憲法違反と訴えたものである。
あてはめ
憲法31条等の規定は、被告人の防御権や適正な裁判を受ける権利を保障しているが、それは必ずしも全ての審級において同一の審理態様を要求するものではない。控訴審を事後審として、一審判決の当否を資料に基づいて判断する仕組みとすることは、合理的な立法裁量の範囲内にある。したがって、所論のいう控訴審の仕組みが直ちに憲法に違反するとはいえない。
結論
控訴審の制度設計は立法政策の問題であり、現行の事後審構造は憲法31条、32条、37条2項に違反しない。
実務上の射程
刑事訴訟法における控訴審の「事後審的性格」の合憲性を支える基礎となる判例である。答案上は、控訴審における事実調べの制限や、一審判決の破棄理由の制限(刑訴法382条等)が合憲であることを論述する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和24新(れ)181 / 裁判年月日: 昭和24年6月1日 / 結論: 棄却
憲法は裁判の審級制度については同第八一條の場合を除くの外立法を以て適當に定めるとろに委ねているものと解すべきことは當裁判所大法廷の判例とするところである。されば新刑訴が控訴審を覆審とせずに事後審としたからといつて、違憲の問題は起らないし、またそれがために所論の量刑不當や採證違反の點について控訴審を受ける妨げともならない…