死刑事件(空知の婦女2名強姦殺害事件)
判旨
死刑制度は憲法36条に違反せず、本件のごとき重大な刑責を負う事案においては死刑の選択はやむをえないものとして是認される。
問題の所在(論点)
1.死刑規定の憲法36条違反の有無。2.強姦殺人等の重大事案において死刑を選択することの妥当性(量刑判断の枠組み)。
規範
死刑を定めた刑法の規定は、憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」には該当しない。死刑の量刑判断においては、犯行の性質、動機、態様、特に殺意の有無や結果の重大性(殺害人数等)、社会的影響、遺族の被害感情等を総合的に考慮し、その刑責が極めて重大であって罪刑の均衡および一般予防の見地からやむをえないと認められる場合には、死刑の選択が許容される。
重要事実
被告人は約2年の間に3回にわたり、夜間帰宅途中の婦女を襲って強姦した。その際、当時19歳の女性2名を殺害し、うち1名の死体を山林に遺棄した。弁護人は、死刑制度の違憲性および殺意の欠如、量刑不当を主張して上告した。
あてはめ
まず、死刑規定の違憲性については、過去の大法廷判決の趣旨に照らし合憲である。次に、具体的量刑について検討するに、被告人は短期間に3回もの凶悪な性犯罪を繰り返し、将来ある19歳の婦女2名の命を奪っている。その犯行態様は、夜間に帰宅途中の無抵抗な女性を襲うという卑劣かつ執拗なものであり、原判決が認定した殺意も正当である。殺害された人数が2名に及んでいる点や、死体遺棄という事後行為を含め、その刑事責任は極めて重大といえる。このような犯行の質および結果の重大性に鑑みれば、死刑の選択を回避すべき特段の事情は見出せない。
結論
被告人を死刑に処した原判決の科刑は、罪刑の均衡の観点からやむをえないものとして是認される。したがって、本件上告は棄却されるべきである。
事件番号: 昭和49(あ)1733 / 裁判年月日: 昭和50年10月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の科刑が許容されるか否かの判断においては、犯行の動機、態様、結果の重大性、被告人の役割、前科、被害者の感情、社会的影響等の諸般の情状を総合的に考慮し、その刑責が極めて重いといえる場合には、死刑の選択もやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は共犯者と共謀の上、強姦目的で男女を襲撃した。まず男性…
実務上の射程
死刑選択の基準(いわゆる永山基準)を再確認する実務上の意義がある。特に殺害人数(本件は2名)や犯行の累次性が、死刑回避を困難にする重要な加重要素となることを示している。
事件番号: 昭和54(あ)780 / 裁判年月日: 昭和55年3月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑は憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」には当たらない。また、犯行の動機、態様、結果等の諸事情を考慮し、被告人の刑責が極めて重い場合には、死刑の選択もやむを得ないものとして是認される。 第1 事案の概要:被告人は、宿泊先の民宿の若妻を深夜に襲い、置時計で殴打して失神させた後、2回にわたり強姦した。さ…
事件番号: 平成16(あ)659 / 裁判年月日: 平成19年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】無期懲役刑の仮出獄中に、前科と類似した経緯・態様で殺害及び死体遺棄に及んだ場合、被告人の根強い犯罪性や結果の重大性に鑑み、死刑の選択はやむを得ない。死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反しないとするのが当裁判所の確立した判例である。 第1 事案の概要:被告人は、過去に2度の殺人・死体遺棄により…
事件番号: 平成13(あ)803 / 裁判年月日: 平成17年7月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑判断にあたっては、犯罪の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮し、罪責が極めて重大で、やむを得ない場合に認められる。 第1 事案の概要:被告人は昭和60年から平成7年にかけ、5名の女性・女児を殺害した。内訳は、情交関係にあ…