申立人に対する被告事件の控訴審裁判所がした勾留期間更新決定に対して、高等裁判所がした異議申立棄却決定に対する特別抗告の申立は、その後、控訴の取下により被告事件が確定した場合、その実益がなく、不適法である。
判旨
被告人に召喚状を送達することなく、弁護人のみに出頭を命じて開かれた公判期日において、証人尋問等の証拠調べを行うことは、被告人の出頭権を侵害するものであり、重大な手続違反として違憲・違法となる。
問題の所在(論点)
被告人に対する適法な召喚が行われないまま、弁護人のみが出頭した状態で開かれた公判期日における証拠調べ手続が、憲法37条および刑事訴訟法上の被告人の出頭権を侵害し、無効な手続となるか。
規範
刑事訴訟法273条2項は、公判期日の召喚は被告人に対して行うべきことを定めている。被告人が公判期日に出頭することは、単なる義務であるにとどまらず、適正な防御の機会を保障するための権利としての側面を有する。したがって、被告人への適法な召喚を欠いたまま、弁護人の出頭のみをもって公判期日を進行し、証拠調べ等の実体的審理を行うことは許されない。
重要事実
被告人が勾留中または在宅のいずれであったかは判決文からは不明であるが、原審において被告人に対する公判期日の召喚状が送達されていなかった。にもかかわらず、裁判所は弁護人のみが出頭した状態で公判期日を開き、証人尋問等の証拠調べを実施した。これに対し、被告人側が手続の違憲・違法を主張して上告(抗告)した事案である。
あてはめ
本件では、被告人に対して公判期日の召喚状が送達されておらず、被告人は当該期日に出頭していない。法が被告人の出頭を公判開始の要件としている趣旨は、直接主義・口頭主義の下で被告人に防御の機会を十分に与える点にある。被告人の召喚という不可欠な手続を履践せず、弁護人の出頭のみをもって足りるとすることは、被告人の裁判を受ける権利の本質的保障を欠くものであり、重大な手続的瑕疵があるといえる。
事件番号: 昭和33(し)12 / 裁判年月日: 昭和33年11月24日 / 結論: 棄却
一 原審における代理人または弁護人および被告人の法定代理人または保佐人に該当しない被告人の父からの控訴申立は不適法である。 二 第一審裁判所は、控訴の申立が法令上の方式に違反していることを理由として右申立を棄却することはできない。
結論
被告人に対する召喚なしに実施された公判期日の手続は違法であり、そこでなされた証拠調べ等の訴訟行為は原則として無効である。
実務上の射程
公判期日における被告人の欠席裁判が許される特例(刑訴法284条等)に該当しない限り、被告人への召喚状の送達は絶対的な公判開催要件となる。答案上は、被告人の出頭権が適正手続(憲法31条)および証人審問権(37条2項)等の基盤となる重要権利であることを指摘する際に活用できる。
事件番号: 昭和53(し)38 / 裁判年月日: 昭和53年6月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】保釈請求却下決定に対する特別抗告の申立て後に、本案である被告事件の裁判が確定した場合には、抗告の申立ては実益がなくなり不適法となる。 第1 事案の概要:恐喝被告事件に関し、被告人は保釈請求却下決定に対する異議申立棄却決定を受け、これに対して最高裁判所へ特別抗告を申し立てた。しかし、その特別抗告の審…
事件番号: 昭和40(し)39 / 裁判年月日: 昭和40年6月14日 / 結論: 棄却
特別抗告の理由は、すべて申立書自体にその内容を記載すべきであつて、抗告書又は抗告追加申立書の記載を援用することは許されない。
事件番号: 昭和57(し)34 / 裁判年月日: 昭和57年3月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠調べ請求却下決定に対する異議申し立てを棄却する決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告の対象とはならない。 第1 事案の概要:本件は、裁判所が行った証拠調べ請求の却下決定に対し、被告人側が異議を申し立てた事案である。原決定(…
事件番号: 昭和53(し)79 / 裁判年月日: 昭和53年10月31日 / 結論: 棄却
一 勾留期間延長の裁判が従前の勾留期間経過後に準抗告審で取り消され、その決定が検察官に告知されたときは、検察官は直ちに身柄釈放の手続をとらなければならない。 二 勾留期間延長の裁判が準抗告審で取り消されたのにもかかわらず、検察官において釈放の手続をとることなく身柄を拘束していた違法は、判示の事実関係のもとにおいては、そ…