死刑事件 著名事件 第一審判決の主文が死刑と懲役刑であり、上告審における未決勾留は前者を本刑とするもののみである場合に、右未決勾留日数を後者の刑期に満ちるまで算入した事例―いわゆる寝屋川若夫婦強殺事件―
刑法21条
判旨
強盗殺人罪における死刑等の量刑判断において、犯行の動機、計画性、殺害手段の残虐性、結果の重大性を重視し、被告人の不遇な生い立ち等の有利な事情を考慮してもなお重刑がやむを得ないと判断される場合には、その科刑は正当である。
問題の所在(論点)
死刑や無期懲役といった重大な刑罰を科すに際し、犯行の情状(動機・態様・結果)と被告人の個人的背景(境遇・性格)をどのように比較衡量すべきか、その判断枠組みが問題となる。
規範
死刑を含む極刑の選択に際しては、①犯行の動機、②計画性、③殺害の手段・方法の残虐性、④結果の重大性(殺害人数等)、⑤被害者感情、⑥社会的影響、⑦被告人の年齢、⑧前科、⑨犯行後の情状といった諸要素を総合的に考慮し、罪責が極めて重大であって、被告人の生い立ち等の有利な事情を参酌してもなおやむを得ないと認められる場合に許容される。
重要事実
被告人は、殺意を持って強盗殺人の犯行に及び、鼻背部割創に基づく肺浮腫や頭部割創に基づく脳挫傷による窒息死という結果を被害者に生じさせた。一審および二審は、被告人の完全責任能力を認め、殺害手段の残虐性や結果の重大性を重視して無期懲役刑を維持した。被告人側は、不遇な生い立ちや家族関係、事実誤認を理由に上告した。
あてはめ
本件では、被告人が殺意に基づき、鼻や頭部への割創を負わせるという残虐な手段で被害者を殺害しており、強盗殺人としての結果は極めて重大である。犯行の計画性も認められ、犯行態様の悪質さが際立っている。これに対し、被告人が主張する「不遇な生い立ち」や「家族関係」などの有利な事情を十分に参酌したとしても、犯行の動機・手段・結果から導かれる刑事責任の重さを覆すには至らない。したがって、原判決が維持した科刑は、罪刑均衡の観点からやむを得ないものと評価できる。
事件番号: 昭和57(あ)303 / 裁判年月日: 平成2年2月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択は、犯行の計画性、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、及び被告人の役割等を総合的に考慮し、その刑責が極めて重大であって罪刑の均衡や一般予防の観点からやむを得ない場合に認められる。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者Aと共謀の上、約1か月の短期間に、何ら落ち度のない女性2…
結論
被告人の有利な事情を考慮しても、犯行の残虐性・重大性に鑑みれば、原判決の科刑は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は、後に「永山基準」として定式化される死刑選択基準の先駆けとなる判断を示している。答案作成上は、強盗殺人等の重大犯罪において、犯行態様の悪質性(客観的要素)と被告人の境遇(主観的要素)を比較衡量する際の考慮要素を列挙するために活用する。
事件番号: 昭和57(あ)842 / 裁判年月日: 昭和62年12月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に際しては、罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状の諸点(永山基準)を総合考慮し、その罪責が極めて重大で、衡平の失当が認められない場合に許容される。 第1 事案の概要:被告人は、約9か月の間に、未成年者誘拐、殺人、死体遺棄、強盗殺人、強…
事件番号: 昭和42(あ)1375 / 裁判年月日: 昭和43年4月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択が許されるのは、犯行の動機、態様、結果、社会的影響、被告人の態度等の諸般の情状を照らし、極刑を科すことがやむを得ないと認められる場合に限られる。 第1 事案の概要:被告人が特定の犯罪行為(詳細は判決文からは不明)を行い、第一審および控訴審において極刑(死刑)の判決を受けた。被告人側は事実…
事件番号: 昭和46(あ)2312 / 裁判年月日: 昭和47年12月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択については、犯行の動機、計画性、殺害手段の残虐性、結果の重大性、犯行後の行状、被告人の前科や年齢等の諸般の情状を総合的に考慮し、被告人に有利な事情を参酌してもなおやむを得ないと認められる場合に許される。 第1 事案の概要:被告人は、50歳と21歳の無抵抗な婦女子2名を殺害した。犯行には凶…
事件番号: 昭和62(あ)192 / 裁判年月日: 平成2年12月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択については、犯行の罪質、動機、態様、結果、遺族の被害感情、社会的影響、被告人の年齢、前科、犯行後の情状などの諸要素を総合考慮し、その刑の選択がやむを得ないと認められる場合に許される。 第1 事案の概要:被告人は、強盗殺人罪により無期懲役に処せられ、仮出獄中の身であった。被告人は、居直り強…