量刑事情としての前科と憲法一三条
憲法13条
判旨
被告人の法軽視の態度の認定資料として古い前科を考慮することは、それが特段重視されたものでない限り、憲法13条に違反しない。
問題の所在(論点)
量刑の資料として被告人の「古い前科」を考慮することが、憲法13条に違反し許されないのではないか。
規範
量刑の判断において、過去の犯罪歴(前科)を被告人の法軽視の態度や性格、情状を認定するための資料として用いることは、それが不当に重視され、現在の人格評価を著しく歪めるものでない限り、適法である。
重要事実
被告人が犯した事件の量刑判断において、裁判所は被告人の過去の犯罪歴(古い前科)を考慮した。これに対し弁護人は、古い前科を被告人の法軽視の態度の認定資料とすることは憲法13条(個人の尊重・幸福追求権)に違反すると主張して上告した。
あてはめ
本件において原判決が引用した前科は古いものではあるが、判決文によれば、裁判所は当該前科を「被告人の法軽視の態度の認定資料」として特に重視して用いたわけではない。したがって、個人の尊重を害するような不適切な人格評価が行われたとはいえず、憲法13条違反の前提を欠く。
事件番号: 昭和46(あ)555 / 裁判年月日: 昭和46年5月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】前科を量刑上の資料として参酌することは、憲法39条後段が禁じる二重処罰には当たらず、また憲法14条1項の法の下の平等にも違反しない。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件において有罪判決を受けた際、裁判所が被告人の有する前科を量刑上の資料として参酌し、刑を言い渡した。これに対し弁護人は、前科を量刑に…
結論
本件の量刑判断において古い前科を考慮したことは憲法13条に違反せず、上告を棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟の実務において、量刑資料(情状)として前科を用いる際の限界を示すものである。答案上は、前科の証拠能力や、人格評価の資料としての許容性を論じる際に、その「重視の程度」によって合理性が判断されるというロジックで活用できる。
事件番号: 昭和46(あ)936 / 裁判年月日: 昭和46年7月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の前科を量刑の事情として考慮することは、前科に対する確定判決を変更したり、同一の犯罪に対して重ねて刑罰を科したりするものではないため、憲法39条後段の二重処罰の禁止には抵触しない。 第1 事案の概要:被告人が刑事裁判において有罪判決を受けた際、第一審判決が被告人の前科を考慮して刑を言い渡し、…
事件番号: 昭和46(あ)637 / 裁判年月日: 昭和46年6月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】前科を量刑上の事情として参酌することは、憲法39条後段の二重の処罰の禁止に抵触しない。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件により起訴され、その裁判の量刑判断において、被告人に前科がある事実が参酌された。弁護人は、このように前科を量刑上参酌することは、既に処罰を受けた行為を実質的に再度処罰するもので…
事件番号: 昭和46(あ)709 / 裁判年月日: 昭和46年6月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑において被告人の前科を考慮することは、前科を一つの情状として斟酌するものにすぎず、憲法39条が禁ずる二重処罰には当たらない。 第1 事案の概要:被告人の控訴審判決において、裁判所は量刑不当の控訴趣意に対する判断の中で、被告人の前科等の量刑資料を勘案して量刑を決定した。これに対し、弁護人は、前科…