公労法一七条一項の規定が憲法二八条に違反しないとされた事例−いわゆる国労賃上斗争佐賀県久保田駅、鳥栖駅事件−
憲法28条,公労法17条1項
判旨
公共企業体等労働関係法17条1項による争議行為の禁止規定は、憲法28条に違反しない。公務員や公共企業体職員の労働基本権に対する制限は、公共の福祉による合理的な制約として認められる。
問題の所在(論点)
公共企業体等労働関係法17条1項が、公共企業体職員の労働基本権を全面的に禁止している点において、憲法28条に違反し、違憲・無効ではないか。
規範
公共企業体等の職員による争議行為を禁止する規定は、その業務の公共性や国民生活への影響を考慮し、憲法28条が保障する労働基本権を公共の福祉のために制限する合理的な範囲内のものとして合憲である。
重要事実
日本国有鉄道(当時)の職員であった被告人らが、争議行為(ストライキ等)を主導・実行した。これに対し、当時の公共企業体等労働関係法(公労法)17条1項が定める争議行為の禁止規定に抵触するとして起訴された事案である。
あてはめ
最高裁判所大法廷(全農林警職法事件判決等)の判例を引用し、公共企業体等の業務が国民生活に不可欠な公共性を有することを重視する。かかる業務の性質に鑑みれば、争議行為の禁止は公共の福祉に基づく正当な制限であり、代償措置の有無にかかわらず、直ちに違憲とはならないと解される。
事件番号: 昭和46(あ)1257 / 裁判年月日: 昭和50年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公共企業体等労働関係法17条1項に違反する争議行為であっても、直ちに正当性が否定されるわけではなく、労働組合法1条2項の刑事免責の適用があり得る。ただし、組織統制力の行使として許容される限界を超える有形力の行使を伴う場合は、違法不当なものとして刑事免責の対象とならない。 第1 事案の概要:郵政職員…
結論
公共企業体等労働関係法17条1項は憲法28条に違反せず、同条項に基づく争議行為の禁止および処罰は適憲である。
実務上の射程
公務員やそれに準ずる公共企業体職員の争議行為禁止の合憲性を論ずる際のリーディングケース(全農林警職法事件等)を再確認する文脈で使用する。労働基本権の制限が「公共の福祉」により正当化される論理を構成する際の根拠となる。
事件番号: 昭和41(あ)1510 / 裁判年月日: 昭和43年3月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公共企業体等労働関係法17条1項に違反してなされた争議行為であっても、労働組合法1条2項の適用は排除されないが、暴力の行使を伴う行為は正当性の限界を越えるため刑事免責の対象とならない。 第1 事案の概要:被告人らは、公共企業体等労働関係法17条1項の規定に違反して争議行為を行った。その際、被告人ら…
事件番号: 昭和29(あ)2531 / 裁判年月日: 昭和32年2月5日 / 結論: 棄却
本件A労働者組合に属する日傭労働者が、B職業安定所長に対し、賃金増額並びに完全就労等の要求をして、面会を求めるような関係は、憲法第二八条の保障する権利の行使に該当しない。