死刑判決に対する控訴取下げを行うかどうかの判断に当たってされた弁護人の助言が不十分であったとして憲法37条3項違反をいう主張が前提を欠くとされた事例
憲法37条3項
判旨
被告人の権利を保護すべき弁護人の活動に欠ける点がない限り、憲法37条3項が保障する弁護人の援助を受ける権利の侵害には当たらない。
問題の所在(論点)
弁護人の弁護活動が著しく不適切である場合、憲法37条3項が保障する「弁護人の援助を受ける権利」を侵害したとして違憲となるか。
規範
憲法37条3項が保障する「弁護人の援助を受ける権利」の侵害が認められるためには、実質的な弁護活動がなされていないなど、被告人の権利保護に欠ける特段の事情が認められることを要する。
重要事実
申立人(被告人)側が、原審における弁護人の弁護活動に不備があったとして、憲法37条3項違反を理由に特別抗告を申し立てた事案である。具体的な弁護活動の内容や事件の詳細は判決文からは不明であるが、記録上、弁護活動に瑕疵があるかどうかが争点となった。
あてはめ
本件記録に照らせば、所論が指摘する弁護人の具体的な弁護活動の内容を検討しても、申立人の権利保護に欠ける点があったとは認められない。したがって、弁護権の行使が形骸化していたり、実質的な援助が拒絶されたりした事態には当たらないと判断される。
事件番号: 平成15(し)360 / 裁判年月日: 平成16年6月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条3項は、被告人に対し、公訴提起の当初から判決確定に至るまでの間、間断なく弁護人が付されることまで保障したものではない。したがって、控訴取下げ時に弁護人が付されていなくとも、同条項に違反するものではない。 第1 事案の概要:被告人が控訴を取り下げた際、弁護人が付されていなかった。これに対し…
結論
本件弁護人の活動に権利保護を欠く点は認められないため、憲法37条3項違反には当たらず、本件抗告を棄却する。
実務上の射程
弁護人の活動の質を理由に憲法違反を主張する際のハードルは極めて高く、単なる弁護方針の不一致や不十分な活動では足りず、「権利保護に欠ける」と言えるほどの実質的な不備が必要であることを示す。答案上では、弁護人の過誤が著しく、被告人に実質的な防御の機会が失われたかどうかの判断基準として機能する。
事件番号: 昭和47(し)16 / 裁判年月日: 昭和47年4月3日 / 結論: 棄却
憲法三七条三項前段所定の弁護人を依頼する権利は、被告人が自ら行使すべきもので裁判所は被告人にこの権利を行使する機会を与え、その行使を妨げなければ足りるものであること、同項後段の規定は、被告人が弁護人を依頼することができないときは、国に対し弁護人の選任を請求する権利があることを認めたものであつて国はかかる請求がなされたと…
事件番号: 昭和30(し)17 / 裁判年月日: 昭和30年4月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条3項の弁護人依頼権は被告人が自ら行使すべき権利であり、裁判所は被告人にその機会を与え、その行使を妨げない限り、同条に違反しない。 第1 事案の概要:特別抗告人が憲法37条3項所定の弁護人に依頼する権利の侵害を主張して特別抗告を申し立てた事案。具体的な事件の背景や手続上の詳細は判決文からは…
事件番号: 昭和49(し)40 / 裁判年月日: 昭和49年5月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条違反の主張が、原裁判所による記録精査の欠如という事実を前提とする場合、その前提事実が認められない限りは適法な抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人が、原裁判所が記録を精査することなく異議申立てを棄却したと主張し、これを前提として憲法37条違反を訴え、本件抗告に至った。しかし、…
事件番号: 昭和43(し)82 / 裁判年月日: 昭和44年3月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】必要的弁護事件であっても、裁判所が被告人に弁護人を選任する機会を与え、その行使を妨げていないのであれば、控訴趣意書の差出最終日までに弁護人が選任されなかったとしても憲法37条3項に違反しない。 第1 事案の概要:必要的弁護事件において、控訴審の控訴趣意書提出期限までに弁護人が選任されなかった事案。…