国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律8条の規定があいまいであるとして憲法31条違反をいう主張が前提を欠くとされた事例
憲法31条,国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律8条
判旨
麻薬特例法8条に規定される「業とした」という文言は、憲法31条が要求する明確性の原則に反してあいまい不明確であるとはいえない。
問題の所在(論点)
麻薬特例法8条に定める「業とした」という文言は、構成要件の明確性を求める憲法31条に違反し、無効となるか。
規範
刑罰法規の文言が憲法31条の適正手続に反して不明確であるとされるのは、通常の判断能力を有する一般人の理解において、何が禁止されているのかの基準が読み取れない場合に限られる。「業として」とは、反復継続の意思をもって行為を行うことを指し、社会通念上客観的な基準として確立された概念である。
重要事実
被告人は、麻薬特例法(国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律)8条違反の罪に問われた。これに対し弁護側は、同条の「業とした」という構成要件が不明確であり、罪刑法定主義を定めた憲法31条に違反すると主張して上告した。
あてはめ
「業として」という用語は、本法に限らず他の刑罰法規(医師法、弁護士法等)においても広く用いられており、判例・実務上「反復継続の意思をもって行うこと」という一義的な解釈が確立している。したがって、通常の判断能力を有する一般人の認識において、どのような行為が処罰対象となるかを予測することは十分に可能であり、法執行機関の恣意的な運用を招くほど不明確な文言とは認められない。
事件番号: 昭和49(あ)1757 / 裁判年月日: 昭和49年11月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑において被告人の前科・前歴を考慮することは、直ちに憲法14条(法の下の平等)や39条(二重処罰の禁止)に抵触するものではなく、過度な考慮がなされない限り適法である。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件により起訴され、下級審において有罪判決を受けた際、その量刑において被告人の有する前科および前歴…
結論
麻薬特例法8条の「業とした」との文言はあいまい不明確とはいえず、憲法31条に違反しない。
実務上の射程
本決定は麻薬特例法に関するものであるが、他の行政刑法や特別刑法における「業として」という要件の憲法適合性を判断する際の一般論として射程が及ぶ。答案上、構成要件の明確性が問題となる場面では、社会通念や他法令での使用状況、一義的な解釈の確立の有無を考慮すべきとする判断枠組みとして活用できる。
事件番号: 平成7(あ)188 / 裁判年月日: 平成9年5月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】銃砲刀剣類所持等取締法の自首減免規定は、罪刑の均衡を欠かず、また自己負罪拒否特権を侵害するものでもないため、憲法14条、31条、38条等に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は、平成7年改正前の銃砲刀剣類所持等取締法31条の2第2項(拳銃等の自首減免規定)の適用に関し、同規定が罪刑の均衡を欠き憲…
事件番号: 昭和52(あ)1278 / 裁判年月日: 昭和52年12月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法54条1項前段の「一個の行為」とは、自然的観察のもとで行為者の動態が社会的見解上一個のものと評価される場合を指し、覚せい剤の輸入行為が同時に関税法違反となる場合は観念的競合にあたる。 第1 事案の概要:被告人は、覚せい剤取締法上で輸入が禁止されている覚せい剤(塩酸フエニルメチルアミノプロパン結…
事件番号: 平成17(あ)660 / 裁判年月日: 平成17年10月12日 / 結論: 棄却
4回の覚せい剤譲渡の年月日,場所,相手,量,代金を記載した別表を添付した上,「被告人は,平成14年6月ころから平成16年3月4日までの間,営利の目的で,みだりに,別表記載のとおり覚せい剤を譲り渡すとともに,薬物犯罪を犯す意思をもって,多数回にわたり,大阪市内において,Aほか氏名不詳の多数人に対し,覚せい剤様の結晶を覚せ…