平成7年法律第89号による改正前の銃砲刀剣類所持等取締法31条の2第2項の規定違憲の主張が前提を欠くとされた事例
憲法14条,憲法31条,憲法38条,憲法39条,平成7年法律89号による改正前の銃砲刀剣類所持等取締法31条の2第2項
判旨
銃砲刀剣類所持等取締法の自首減免規定は、罪刑の均衡を欠かず、また自己負罪拒否特権を侵害するものでもないため、憲法14条、31条、38条等に違反しない。
問題の所在(論点)
銃砲刀剣類所持等取締法における自首減免規定が、罪刑の均衡を欠くことによる憲法31条・14条違反、または自己負罪拒否特権を侵害することによる38条・31条違反に当たるか。
規範
特定の犯罪(本件では銃砲刀剣類所持等取締法違反)について、自首等による刑の減免を定める規定が合憲であるかについては、当該規定が罪刑の均衡を著しく欠くものではなく、かつ不当に供述を強要するものでない限り、立法府の合理的な裁量の範囲内として憲法31条、38条、14条等に違反しない。
重要事実
被告人は、平成7年改正前の銃砲刀剣類所持等取締法31条の2第2項(拳銃等の自首減免規定)の適用に関し、同規定が罪刑の均衡を欠き憲法31条・14条に違反すること、実行時に適法であった行為を処罰するものであるとして39条に違反すること、および自己に不利益な供述を強要するものであるとして38条・31条に違反することを主張して上告した。
あてはめ
まず、本規定は所持という継続的な犯罪状態にある者に対し、自首を促すことで拳銃等の回収を図る政策的意図に基づくものであり、罪刑の均衡を欠くとはいえない。また、自首による刑の減免という特典を付与するに過ぎず、被告人に対し強制的に不利益な供述を強要するものではない。さらに、実行時に適法であった行為を処罰するものでもなく、不合理な差別も認められない。
事件番号: 昭和49(あ)1757 / 裁判年月日: 昭和49年11月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑において被告人の前科・前歴を考慮することは、直ちに憲法14条(法の下の平等)や39条(二重処罰の禁止)に抵触するものではなく、過度な考慮がなされない限り適法である。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件により起訴され、下級審において有罪判決を受けた際、その量刑において被告人の有する前科および前歴…
結論
本規定は憲法14条、31条、38条、39条のいずれにも違反せず、合憲である。
実務上の射程
政策的な自首減免規定の合憲性を肯定した判例であり、刑事実務における自首の評価や、立法政策上の刑の加減規定の正当化根拠を検討する際の参考となる。特に、自己負罪拒否特権との関係では「特典の付与は強要にあたらない」という論理が重要となる。
事件番号: 昭和53(あ)2243 / 裁判年月日: 昭和54年9月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白のみでいわゆる余罪を認定した場合であっても、それが実質的に当該余罪を処罰する趣旨で量刑の資料に用いられたものでない限り、憲法31条および38条3項に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が起訴事実以外の余罪についても自白しており、原審はその自白に基づいて余罪の存在を認定した上で、量刑の…
事件番号: 平成9(あ)804 / 裁判年月日: 平成9年11月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】麻薬特例法8条に規定される「業とした」という文言は、憲法31条が要求する明確性の原則に反してあいまい不明確であるとはいえない。 第1 事案の概要:被告人は、麻薬特例法(国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律)8条違反の…
事件番号: 昭和51(あ)923 / 裁判年月日: 昭和51年9月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白のみに基づいて有罪とすることは憲法38条3項に抵触するが、判決が自白以外の証拠も併せて証拠としていることが明白であれば、同条違反の前提を欠く。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件において有罪判決を受けた際、第一審判決および控訴審判決(原判決)がいずれも被告人の自白のみを証拠として有罪と…
事件番号: 昭和49(あ)2054 / 裁判年月日: 昭和49年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法38条3項が定める補強証拠の要否について、第一審判決が被告人の自白のみに基づいて有罪を認定したものではないことが判文上明らかである場合には、同条項違反の主張は前提を欠く。 第1 事案の概要:被告人が起訴された事実について、弁護人は第一審が被告人の自白のみに基づいて有罪を認定したと主張し、憲法3…