関税法111条の規定違憲等の主張が原判決の法律見解が正当であることを理由に前提を欠くとされた事例
憲法31条,関税法70条1項,関税法111条
判旨
関税法111条の無許可輸入罪の成否は、当該貨物が他法令で輸入制限されているか否かとは無関係であり、また同法70条1項の手続規定は同罪の構成要件の内容をなすものではない。
問題の所在(論点)
関税法111条(無許可輸入罪)の成否において、輸入貨物が他法令の輸入制限対象であるか否か、および同法70条1項の規定が構成要件の内容に含まれるか。
規範
関税法111条は、税関長の許可を受けないで貨物を輸入しようとした行為自体を処罰する規定である。したがって、輸入しようとした貨物が他の法令によって輸入制限されているか否かは、同条の罪の成否に影響を及ぼさない。また、他法令による許可・承認等の証明手続を定めた関税法70条1項は、同法111条の構成要件の内容を構成するものではない。
重要事実
被告人が、税関長の許可を受けずに貨物を輸入しようとした行為について、関税法111条違反(無許可輸入罪)に問われた事案。弁護人は、当該貨物が他法令の輸入制限に抵触するかどうかや、関税法70条1項の証明手続が欠如していることが罪の成否に影響すると主張して上告した。
あてはめ
関税法111条は「税関長の許可を受けないで貨物を輸入」する行為を独立して処罰の対象としている。本件において、貨物が他法令(薬事法や外為法等)で制限されているかは、税関長の許可の有無という形式的要件を左右するものではない。さらに、同法70条1項は税関に対する証明手続を定めた手続規定に過ぎず、罰則である111条の処罰根拠(構成要件)そのものを補充する関係にはないといえる。
結論
関税法111条の罪は成立し、他法令の輸入制限の有無や同法70条1項の手続は罪の成否に影響しない。
実務上の射程
行政刑法における構成要件の独立性を認めた判決。答案上、関税法違反を論じる際は、他法令の該非を問わず「税関長の許可の欠如」という事実のみで111条の成否を確定できる根拠として引用可能である。
事件番号: 平成7(あ)1009 / 裁判年月日: 平成8年3月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】関税法109条(輸入禁制品の輸入罪)の合憲性について、いわゆる「わいせつ物」の輸入を禁止・処罰することは、憲法13条、19条、21条、31条に違反しない。 第1 事案の概要:上告人は、関税法109条(平成6年法律第118号による改正前のもの)に基づき、輸入禁制品(わいせつな図画等)を輸入したとして…
事件番号: 昭和53(あ)157 / 裁判年月日: 昭和54年5月10日 / 結論: 棄却
許可を受けないで覚せい剤を輸入した者に対し関税法一一一条の罪の成立を認めても、憲法三八条一項にいう「自己に不利益な供述」を強要したことにはならない。