関税法(平成6年法律第118号による改正前のもの)109条の規定と憲法13条,19条,21条,31条
憲法13条,憲法19条,憲法21条,憲法31条,関税法(平成6年法律118号による改正前のもの)109条1項,関税法(平成6年法律118号による改正前のもの)109条2項
判旨
関税法109条(輸入禁制品の輸入罪)の合憲性について、いわゆる「わいせつ物」の輸入を禁止・処罰することは、憲法13条、19条、21条、31条に違反しない。
問題の所在(論点)
関税法109条が「わいせつな図画」等の輸入を禁止し、これに刑罰を科していることが、表現の自由(21条)や適正手続(31条)等の憲法各条項に抵触し、違憲といえるか。
規範
わいせつな表現物の輸入規制については、それが公共の福祉のために必要かつ合理的な制限である限り、表現の自由(21条)や居住移転の自由(22条)等の憲法上の諸権利を侵害するものではない。また、規制対象が不明確でなく、手続上の適正が担保されている限り、憲法31条にも違反しない。
重要事実
上告人は、関税法109条(平成6年法律第118号による改正前のもの)に基づき、輸入禁制品(わいせつな図画等)を輸入したとして起訴された。これに対し、上告人は同条が憲法13条(幸福追求権)、19条(思想及び良心の自由)、21条(表現の自由)、31条(適正手続)に違反し違憲であると主張して上告した。
あてはめ
最高裁昭和59年12月12日大法廷判決の趣旨に照らせば、関税法によるわいせつ物の輸入規制は、健全な性風俗を維持し、公共の福祉を増進する目的で行われる必要最小限度の制限である。本件において、上告人が主張する各憲法条項への違反は、既に出された判例の趣旨に鑑みて、いずれも理由がないものと認められる。
結論
関税法109条は憲法13条、19条、21条、31条に違反せず、合憲である。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
税関検査における「わいせつ物」の没収や輸入禁止が、検閲(21条2項)に当たらないこと、および表現の自由等の侵害にならないことを肯定した「松山関税事件」大法廷判決を踏襲するものである。答案上は、税関規制の合憲性を論じる際の確実な根拠として、先例の趣旨を引用する形で用いる。
事件番号: 平成9(あ)1008 / 裁判年月日: 平成9年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】関税法111条の無許可輸入罪の成否は、当該貨物が他法令で輸入制限されているか否かとは無関係であり、また同法70条1項の手続規定は同罪の構成要件の内容をなすものではない。 第1 事案の概要:被告人が、税関長の許可を受けずに貨物を輸入しようとした行為について、関税法111条違反(無許可輸入罪)に問われ…
事件番号: 昭和45(あ)2585 / 裁判年月日: 昭和47年12月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】関税法118条1項及び2項(昭和42年法律第11号による改正前)に基づく貨物の没収規定は、憲法29条に違反しない。判例(昭和37年11月28日大法廷判決等)の趣旨に照らし、正当な手続及び補償の観点から合憲性が維持される。 第1 事案の概要:上告人は関税法違反の罪に問われ、同法118条1項および2項…