非常上告事件において原略式命令破棄・無罪が言い渡された事例
刑訴法458条1号,刑訴法336条
判旨
自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)11条の適用除外地域において行われた長時間駐車行為は、同法違反の罪を構成しない。したがって、当該行為を処罰した略式命令は法令違反により無罪とされるべきである。
問題の所在(論点)
車庫法11条の適用が除外されている地域において行われた長時間駐車行為について、同条違反の罪が成立するか(罪とならない事実を処罰したことによる法令違反の有無)。
規範
車庫法11条は、同法附則3項により「当分の間、政令で定める地域以外の地域において行われた行為については適用しない」とされている。したがって、当該行為地が政令で指定された地域に含まれない限り、夜間の長時間駐車行為を同法違反として処罰することはできない。
重要事実
被告人は、神奈川県愛甲郡清川村(判決文中の「b村」)内の道路において、平成7年2月27日夜間から翌朝にかけ、8時間以上にわたり普通乗用自動車を継続して駐車した。これに対し、厚木簡易裁判所は車庫法11条2項2号等を適用し、罰金4万円の略式命令を発付し、同命令は確定した。
あてはめ
本件の行為地である神奈川県愛甲郡清川村は、車庫法施行令附則3項、2項1号、別表のいずれにも照らして、同法11条の規定を適用すべき「政令で定める地域」に該当しない。そのため、同村内において自動車を夜間に道路上の同一場所に引き続き8時間以上駐車させる行為は、法律上禁止されていなかったといえる。そうであるならば、確定した略式命令が認定した事実は、その性質上、罪とならないもの(刑訴法336条前段)に該当する。
事件番号: 平成8(さ)5 / 裁判年月日: 平成8年9月3日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)11条の道路上駐車禁止規定は、同法附則3項により、政令で定める地域以外の地域には適用されないため、対象外の地域での駐車行為は罪とならない。 第1 事案の概要:被告人は、神奈川県愛甲郡清川村(判決文中のa村)の道路上において、平成7年2月27日夜間から翌…
結論
原略式命令は、罪とならない事実を処罰したものであり、法令に違反し被告人に不利益であることが明白である。よって、非常上告に基づき原判決を破棄し、被告人に対し無罪を言い渡す。
実務上の射程
本判決は、非常上告手続(刑訴法454条以下)において、確定判決が認めた事実が実体法上罪を構成しないことが判明した場合の処理(458条1号)を示すものである。答案上は、罪刑法定主義の観点から、処罰根拠となる法令の適用範囲(特に委任政令による地域限定)を厳格に解釈すべき事例として参照し得る。
事件番号: 平成8(さ)3 / 裁判年月日: 平成8年9月3日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】自動車の保管場所の確保等に関する法律11条2項(夜間長時間駐車の禁止)は、同法附則により政令で定める地域以外には適用されないため、対象外の地域での行為は罪とならない。 第1 事案の概要:被告人は、神奈川県愛甲郡a村内の道路において、平成7年4月30日夜間から翌5月1日早朝にかけて、普通乗用自動車2…
事件番号: 平成8(さ)4 / 裁判年月日: 平成8年9月3日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)の道路における長時間駐車の禁止規定は、政令で定める地域外の行為には適用されないため、当該地域外での駐車行為を処罰した略式命令は法令に違反し、被告人は無罪となる。 第1 事案の概要:被告人は、神奈川県a郡b村内の道路において、平成7年2月27日夜間から翌…
事件番号: 平成8(さ)6 / 裁判年月日: 平成8年9月3日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)11条の駐車禁止規定は、政令で定める地域以外の地域には適用されないため、非対象地域での夜間長時間駐車は罪とならない。 第1 事案の概要:被告人は、神奈川県愛甲郡清川村(旧a村)内の道路に、夜間、引き続き8時間以上普通乗用自動車を駐車した。平塚簡易裁判所…
事件番号: 平成8(さ)1 / 裁判年月日: 平成8年9月3日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)11条2項の禁止規定が適用されない地域において夜間駐車を行った行為は、構成要件に該当せず罪とならないため、これに対して罰金を科した略式命令は法令違反として破棄されるべきである。 第1 事案の概要:被告人は、神奈川県愛甲郡a村内の道路に軽四輪貨物自動車を…