薬事法2条1項2号,3号にいう「医薬品」の意義と憲法21条1項
薬事法2条1項2号,薬事法2条1項3号,憲法21条1項
判旨
「明治ネオカルシウム」等の製品が、販売の際の演述・宣伝等の外形的客観的事態を総合して薬事法上の医薬品に該当すると判断し、同法違反の罪の成立を認めることは、憲法21条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
販売時の演述・宣伝等の内容を考慮して製品の「医薬品」該当性を判断し、無許可販売罪(薬事法24条1項)の成立を認めることが、憲法21条1項が保障する表現の自由に反しないか。
規範
ある物が薬事法(現・医薬品医療機器等法)2条1項にいう「医薬品」に該当するか否かは、その物の成分、形状、名称のみならず、販売の際の演述、宣伝、効能の説明など、その物が販売される際の客観的な態様を総合して、その物が医薬品としての目的を有するものと認識されるかによって判断される。
重要事実
被告会社の代表者が、「明治ネオカルシウム」等の製品を販売する際、演述や宣伝等を行っていた。原判決は、これらの販売態様を含めた諸般の事情を総合し、当該製品が薬事法2条1項2号または3号の医薬品に当たると認定した。被告側は、このような認定に基づき薬事法24条1項違反の罪を認めることは、表現の自由(憲法21条1項)等を侵害すると主張して上告した。
あてはめ
判決文によれば、本件製品の販売に際してなされた演述や宣伝の内容が、製品の性質を決定づける重要な事実として考慮されている。このような販売態様の総合評価による医薬品認定は、国民の生命・健康を保持するという公共の福祉に基づく合理的な規制の範囲内である。したがって、被告人の表現行為の内容を医薬品該当性の判断材料として用いても、憲法21条1項の趣旨に徴して許容される範囲内の規制といえる。
結論
販売の際の演述・宣伝等を総合して製品の医薬品該当性を肯定し、薬事法違反の罪の成立を認めることは、憲法21条1項に違反しない。
実務上の射程
行政法(薬機法)および刑事法における「医薬品」の意義に関する射程を有する。物品そのものの物理的属性だけでなく、販売者の主観が外部に表れた「宣伝・演述」という客観的事実によって、非医薬品が医薬品へと転化することを認める。表現の自由との関係では、公共の福祉による合理的制限として肯定される。答案上では、物の定義が販売態様に依存することを肯定する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和56(あ)58 / 裁判年月日: 昭和57年9月28日 / 結論: 棄却
一 薬事法二条一項二号にいう「医薬品」とは、その物の成分、形状、名称、その物に表示された使用目的・効能効果・用法用量、販売方法、その際の演述・宣伝などを総合して、その物が通常人の理解において「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている」と認められるものをいい、これが客観的に薬理作用を有するも…