保護処分の執行終了後の少年法27条の2第1項による保護処分取消しの可否(消極)(いわゆる山形マット死事件の保護処分取消し申立事件)
少年法27条の2第1項,憲法14条
判旨
少年法27条の2第1項に基づく保護処分の取消しは、保護処分が継続中である場合に限り許され、処分終了後には認められない。同規定は少年を将来に向かって保護処分から解放することを目的とするものであり、少年の名誉回復を目的とするものではない。
問題の所在(論点)
少年法27条の2第1項に基づく保護処分の取消しについて、保護処分が既に終了した後に申し立てることが認められるか、また、処分の終了後に取消しを認めない解釈が憲法14条に違反しないか。
規範
少年法27条の2第1項による保護処分の取消しは、保護処分の決定の確定後に非行事実の不存在が明らかにされた少年を、将来に向かって当該処分から解放することを目的とする手続である。したがって、当該取消しは保護処分が現に継続中である場合に限り許容され、処分の終了後は、たとえ名誉回復を目的とするものであっても認められない。
重要事実
本件は、既に保護処分が終了した元少年が、保護処分の基礎とされた非行事実が存在しないことを理由に、少年法27条の2第1項に基づき保護処分の取消しを求めて抗告した事案である。原決定は、保護処分が継続中ではないことを理由に取消しを認めなかったため、抗告人はこれが憲法14条(平等権)等に違反すると主張して特別抗告を行った。
あてはめ
少年法27条の2第1項の制度趣旨は、誤った非行事実に基づく不当な身体拘束や制約から少年を「将来に向かって」救済することにある。本件において、抗告人は既に保護処分の執行を終えており、将来に向かって解放すべき制約が存在しない。少年の名誉回復という観点は、同項の直接的な目的には含まれていないと解されるため、処分終了後の取消しを認めない原判断は正当であり、刑罰における再審制度との差異が生じるとしても憲法14条に違反するものではない。
事件番号: 平成2(し)141 / 裁判年月日: 平成3年5月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法27条の2第1項に基づく保護処分の取消しは、将来に向かって少年を保護処分から解放する手続であり、保護処分が継続中である場合に限り許される。 第1 事案の概要:少年らは保護処分を受けたが、その基礎となった非行事実が存在しないと主張して保護処分の取消しを求めた。しかし、抗告審の継続中に一部の申立…
結論
保護処分の取消しは、処分が継続中である場合に限り認められ、処分終了後の申立ては認められない。したがって、本件抗告は棄却される。
実務上の射程
少年法上の「保護処分の取消し(事後的な救済)」の限界を明確にした判例である。答案上は、保護処分が既に終了している事案において、少年法27条の2第1項に基づく救済の可否が問われた際、本判例を引用して、同規定の目的が「将来に向けた解放」に限定されることを指摘し、申立てを否定する根拠として活用する。
事件番号: 平成4(し)103 / 裁判年月日: 平成4年12月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法27条の2第1項に基づく保護処分の取消しは、保護処分が現に継続中である場合に限り許され、少年の名誉回復を目的とするものではない。 第1 事案の概要:少年に対して保護処分の決定がなされ、その後に決定が確定した。その後、処分の基礎とされた非行事実が存在しなかったことが明らかにされた(と主張された…
事件番号: 平成6(し)94 / 裁判年月日: 平成6年9月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法27条の2第1項に基づく保護処分の取消しは、保護処分が継続中である場合に限り許され、処分の終了後は、非行事実の不存在を理由とする取消しは認められない。 第1 事案の概要:本件において、抗告人は、保護処分の決定が確定した後にその処分の基礎とされた非行事実が存在しないことが明らかになったとして、…
事件番号: 平成7(し)6 / 裁判年月日: 平成7年2月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年院を仮退院中の者に対し、地方更生保護委員会による退院の許可決定が告知された場合には、保護処分の執行が終了するため、当該処分に対する抗告の利益は消滅する。 第1 事案の概要:少年院に収容されていた申立人は、仮退院中の身であったが、平成6年12月26日に東北地方更生保護委員会より退院の許可決定を受…
事件番号: 平成7(し)5 / 裁判年月日: 平成7年2月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年院を仮退院中の者に対し退院の許可決定がなされ、その告知が行われた場合には、保護処分の執行が終了したものとして、抗告の利益が消滅する。 第1 事案の概要:少年院を仮退院中であった申立人に対し、地方更生保護委員会が退院の許可決定を行い、その決定が申立人に告知された。申立人はこの状況下で抗告を継続し…