保護処分執行終了後の保護処分の取消しに関する再抗告は,不服申立ての利益を欠く(いわゆる山形マット死事件の保護分取消し申立事件)
少年法27条の2第1項
判旨
少年院を仮退院中の者に対し退院の許可決定がなされ、その告知が行われた場合には、保護処分の執行が終了したものとして、抗告の利益が消滅する。
問題の所在(論点)
少年院からの退院許可決定およびその告知がなされた場合、当該少年に対する保護処分の執行が終了したといえるか。また、それにより抗告の利益が失われるか。
規範
保護処分に対する不服申立てにおいて、当該処分の執行が完了し、もはや処分の継続や変更を争う実益が失われた場合には、不服申立ての利益(抗告の利益)を欠き、抗告は不適法となる。
重要事実
少年院を仮退院中であった申立人に対し、地方更生保護委員会が退院の許可決定を行い、その決定が申立人に告知された。申立人はこの状況下で抗告を継続していた。
あてはめ
申立人に対して東北地方更生保護委員会による退院の許可決定がなされ、これが本人に告知された事実に照らせば、少年法上の保護処分の執行は客観的に終了したと評価できる。執行が終了した以上、処分を争う法的利益は現存しないといえる。
事件番号: 平成7(し)6 / 裁判年月日: 平成7年2月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年院を仮退院中の者に対し、地方更生保護委員会による退院の許可決定が告知された場合には、保護処分の執行が終了するため、当該処分に対する抗告の利益は消滅する。 第1 事案の概要:少年院に収容されていた申立人は、仮退院中の身であったが、平成6年12月26日に東北地方更生保護委員会より退院の許可決定を受…
結論
本件抗告は不服申立ての利益を欠き、不適法であるため、棄却を免れない。
実務上の射程
本決定は少年事件における抗告の利益の有無に関するものである。保護処分の執行終了(退院、保護観察期間満了等)により抗告の利益が消滅するという一般的法理を確認しており、実務上、審理中に執行が終了した場合には「不適法」として処理する根拠となる。ただし、非行事実の存否を争う場合であっても、執行終了後は原則として利益が否定される点に注意を要する(名誉回復等の特段の事情は別途検討の余地があるが、本決定は簡潔に利益を否定している)。
事件番号: 平成7(し)7 / 裁判年月日: 平成7年2月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法27条の2第1項に基づく保護処分の取消しは、保護処分が継続中である場合に限り許され、処分終了後には認められない。同規定は少年を将来に向かって保護処分から解放することを目的とするものであり、少年の名誉回復を目的とするものではない。 第1 事案の概要:本件は、既に保護処分が終了した元少年が、保護…
事件番号: 平成2(し)141 / 裁判年月日: 平成3年5月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法27条の2第1項に基づく保護処分の取消しは、将来に向かって少年を保護処分から解放する手続であり、保護処分が継続中である場合に限り許される。 第1 事案の概要:少年らは保護処分を受けたが、その基礎となった非行事実が存在しないと主張して保護処分の取消しを求めた。しかし、抗告審の継続中に一部の申立…
事件番号: 平成4(し)103 / 裁判年月日: 平成4年12月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法27条の2第1項に基づく保護処分の取消しは、保護処分が現に継続中である場合に限り許され、少年の名誉回復を目的とするものではない。 第1 事案の概要:少年に対して保護処分の決定がなされ、その後に決定が確定した。その後、処分の基礎とされた非行事実が存在しなかったことが明らかにされた(と主張された…
事件番号: 昭和60(し)135 / 裁判年月日: 昭和61年1月9日 / 結論: 棄却
少年に対する保護処分の執行が終了した後においては、もはや少年法二七条の二第一項によりその保護処分を取り消す余地はないと解釈しても、憲法一三条、一四条、三二条に違反しない。