保護処分の執行終了後の少年法27条の2第1項による保護処分取消しの可否(消極)−いわゆる草加女子中学生殺人事件の第2次保護処分取消し申立事件
少年法27条の1項,憲法13条,憲法14条,憲法31条,憲法32条
判旨
少年法27条の2第1項に基づく保護処分の取消しは、保護処分が現に継続中である場合に限り許され、少年の名誉回復を目的とするものではない。
問題の所在(論点)
少年法27条の2第1項(保護処分の取消し)の規定は、保護処分が既に終了した後の少年に対しても、名誉回復の手段として適用されるか。
規範
少年法27条の2第1項は、保護処分の確定後に非行事実の不存在が明らかとなった場合に、少年を将来に向かって保護処分から解放する手続を規定したものである。したがって、本規定による取消しが認められるのは「保護処分が現に継続中である場合」に限定され、既に終了した処分に対して、名誉回復のみを目的として申し立てることはできない。
重要事実
少年に対して保護処分の決定がなされ、その後に決定が確定した。その後、処分の基礎とされた非行事実が存在しなかったことが明らかにされた(と主張された)。しかし、申立ての時点で当該保護処分は既に終了していたため、原審は「保護処分が現に継続中である場合に限り許される」として取消しの申立てを退けた。これに対し、憲法13条、14条、31条、32条違反等を理由に抗告がなされた。
あてはめ
少年法27条の2第1項の趣旨は、誤った事実認定に基づく不当な身体的自由等の制約から「将来に向かって」少年を解放することにある。本件では、保護処分は既に終了しており、少年を拘束する法的状態は存在しない。同規定は名誉回復を独立の目的とするものではない以上、終了した処分に対して遡及的に取消しを認める根拠とはならない。したがって、処分の継続性を要件とする原判断は、憲法各条に違反しない。
事件番号: 平成6(し)94 / 裁判年月日: 平成6年9月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法27条の2第1項に基づく保護処分の取消しは、保護処分が継続中である場合に限り許され、処分の終了後は、非行事実の不存在を理由とする取消しは認められない。 第1 事案の概要:本件において、抗告人は、保護処分の決定が確定した後にその処分の基礎とされた非行事実が存在しないことが明らかになったとして、…
結論
保護処分の取消しは、処分が継続している場合に限り可能であり、既に終了している場合には認められない。
実務上の射程
少年法における「保護処分の取消し(事後的な救済)」が、刑事訴訟法上の「再審」とは異なり、名誉回復を目的とした遡及的な救済制度ではないことを明示する際に用いる。答案上は、保護処分の目的が「教育的働きかけ」にあるという少年法の基本理念と関連付けて、救済の限界を論じる際に有効である。
事件番号: 平成7(し)7 / 裁判年月日: 平成7年2月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法27条の2第1項に基づく保護処分の取消しは、保護処分が継続中である場合に限り許され、処分終了後には認められない。同規定は少年を将来に向かって保護処分から解放することを目的とするものであり、少年の名誉回復を目的とするものではない。 第1 事案の概要:本件は、既に保護処分が終了した元少年が、保護…
事件番号: 平成2(し)141 / 裁判年月日: 平成3年5月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法27条の2第1項に基づく保護処分の取消しは、将来に向かって少年を保護処分から解放する手続であり、保護処分が継続中である場合に限り許される。 第1 事案の概要:少年らは保護処分を受けたが、その基礎となった非行事実が存在しないと主張して保護処分の取消しを求めた。しかし、抗告審の継続中に一部の申立…
事件番号: 昭和60(し)135 / 裁判年月日: 昭和61年1月9日 / 結論: 棄却
少年に対する保護処分の執行が終了した後においては、もはや少年法二七条の二第一項によりその保護処分を取り消す余地はないと解釈しても、憲法一三条、一四条、三二条に違反しない。
事件番号: 昭和59(し)34 / 裁判年月日: 昭和59年9月18日 / 結論: 棄却
少年法二七条の二第一項による保護処分の取消は、保護処分が現に継続中である場合に限り許される。