一 刑法186条1項(平成7年法律第91号による改正前のもの)の合憲性(憲法13条) 二 いわゆる鉄火場賭博の検挙・処罰と憲法14条
刑法186条1項,憲法13条,憲法14条
判旨
刑法186条1項の常習賭博罪は、私人間で行われる賭博行為の可罰性を否定できない以上、憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
刑法186条1項(常習賭博罪)の規定は、私人間で行われる賭博行為を処罰する点において憲法に違反するか。また、鉄火場賭博の処罰が憲法に違反するか。
規範
刑法186条1項が常習賭博行為を処罰することは、私人間における賭博行為の社会的弊害や公序良俗への反抗に鑑み、立法府の裁量の範囲内として合憲である。いわゆる「鉄火場賭博」の処罰についても、検挙及び裁判の過程に適正を欠く特段の事情がない限り、憲法に違反するものではない。
重要事実
被告人が常習として賭博を行ったとして、刑法186条1項の常習賭博罪に問われた。これに対し弁護人は、同条の規定が違憲であること、およびいわゆる「鉄火場賭博」を処罰することが違憲である旨を主張して上告した。
あてはめ
私人間で行われる賭博行為であっても、その反社会性や国民生活への悪影響は看過できず、可罰性を否定することはできない。また、本件における賭博行為の検挙及び裁判の手続を検討しても、何ら不当な点は認められない。したがって、本件における処罰が憲法に抵触すると評価すべき特段の事情は存在しない。
結論
刑法186条1項は合憲であり、被告人の行為を同条に基づき処罰することは適法である。
実務上の射程
常習賭博罪の合憲性を簡潔に認めた判例であり、答案上、賭博罪の保護法益(健全な経済風俗、勤労の美風等)が憲法上の要請(公共の福祉)に合致することを補強する文脈で使用できる。ただし、本決定自体は極めて簡潔なため、具体的あてはめというよりは合憲性の結論を引用する際に用いるのが適切である。
事件番号: 昭和26(れ)1430 / 裁判年月日: 昭和26年12月7日 / 結論: 棄却
刑法中賭博罪に関する規定は、憲法に違反しない。