勾留に代わる観護措置を取り消す旨の裁判を変更し右観護措置取消し請求を却下した裁判に対し特別抗告の申立てがされた後,右観護措置がとられた事件が家庭裁判所に送致された場合の特別抗告の効力
少年法17条5項
判旨
勾留に代わる観護措置がとられた事件が家庭裁判所に送致された場合、当該措置の取消しを求める不服申立ては、もはや法律上の利益を欠き不適法となる。
問題の所在(論点)
勾留に代わる観護措置の取消しを求める特別抗告の係属中に、対象事件が家庭裁判所へ送致された場合、当該申立ての適法性(法律上の利益)は失われるか。
規範
刑事手続における勾留に代わる観護措置(刑訴法43条、45条、少年法17条1項2号等参照)の適否を争う不服申立てにつき、当該事件が家庭裁判所に送致された後は、捜査段階の措置を維持・変更する実益が失われるため、特別抗告を維持する「法律上の利益」が失われると解すべきである。
重要事実
申立人に対し勾留に代わる観護措置が執られた。簡易裁判所は取消決定をしたが、準抗告審がこれを取り消し、取消請求を却下した。申立人がこの準抗告審の裁判に対し特別抗告を申し立てたところ、その翌日に、本件措置がとられた事件が家庭裁判所に送致された。
あてはめ
申立人は準抗告審の決定を不服として特別抗告を申し立てているが、記録によれば、申立ての翌日に当該事件が浦和家庭裁判所に送致されている。家庭裁判所への送致により、手続の段階が捜査から家庭裁判所の審判手続へと移行した。これにより、捜査段階における強制処分の一種である「勾留に代わる観護措置」の是非を争う実益は消滅したものといえる。
事件番号: 平成10(し)29 / 裁判年月日: 平成10年2月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】観護措置決定に対する抗告中に当該決定が取り消された場合、不服申立ての利益は失われるため、抗告は棄却されるべきである。 第1 事案の概要:本件は観護措置決定に対する抗告事件である。最高裁判所での審理中に、職権調査の結果、抗告の対象となっていた本件観護措置決定が、平成10年2月6日をもって既に取り消さ…
結論
本件申立ては、現時点においては法律上の利益を欠き、不適法であるとして棄却される。
実務上の射程
刑事手続から少年保護手続への移行に伴う不服申立ての利益消滅に関する判断である。答案上は、勾留等の強制処分に対する不服申立てにおいて、起訴や送致等の手続進行が「法律上の利益」に与える影響を検討する際の根拠として活用できる。
事件番号: 平成1(し)76 / 裁判年月日: 平成元年10月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】押収物の還付が既になされた場合、当該押収処分の取消しを求める準抗告は申立ての利益を欠き、裁判をする実益がないものとして棄却される。 第1 事案の概要:司法警察員は、被告発人(申立人代表者)から物件の任意提出を受けて押収し、また捜索差押許可状に基づき物件を押収した。申立人はこれらの押収処分の取消しを…
事件番号: 平成7(し)40 / 裁判年月日: 平成7年4月12日 / 結論: 棄却
一 勾留に関する処分を行う裁判官は職権により被疑者又は被告人の勾留場所を変更する旨の移監命令を発することができる。 二 裁判官に移監命令の職権発動を促す趣旨でされた勾留取消し請求を却下した裁判に対する不服申立ては許されない。
事件番号: 昭和46(し)62 / 裁判年月日: 昭和46年9月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年に対する検察官送致決定の取消しを求める抗告手続において、少年が既に釈放されている場合には、手続上の違法を争う利益は失われる。 第1 事案の概要:少年(申立人)に対し、家庭裁判所の裁判官が犯罪事実についての陳述の機会を与えないまま検察官送致(逆送)の決定を行った。申立人は、この手続が憲法に違反す…
事件番号: 昭和25(し)33 / 裁判年月日: 昭和28年1月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判官に対する忌避の申立てにより訴訟手続を停止すべき場合であっても、被告人に対する勾留の更新決定をすることは、刑事訴訟規則11条ただし書にいう「急速を要する場合」に該当し、適法である。 第1 事案の概要:被告人が担当裁判官に対して忌避の申立てを行った。当該裁判官は、忌避申立てに伴う訴訟手続の停止期…