原判決中未決勾留日数算入部分が破棄された事例
刑法21条,刑訴法405条2号
判旨
未決勾留期間が別罪の確定判決に基づく懲役刑の執行と重複する場合、当該期間を本刑に算入することは刑法21条の適用において許されない。
問題の所在(論点)
未決勾留の期間が、別罪の確定判決に基づく自由刑の執行期間と重複する場合、その重複期間を刑法21条により本刑に算入できるか。
規範
刑法21条に基づく未決勾留日数の算入は、身柄の拘束が当該事件の審理等のための実質的な未決勾留である場合に認められる。しかし、未決勾留の期間が別罪の確定判決に基づく刑の執行期間と重複する場合には、その期間は刑の執行としての性質を有するため、重ねて本刑に算入することはできない。
重要事実
被告人は強制わいせつ罪(本件)により起訴され、第一審から第二審にかけて勾留されていた。一方で、被告人は別罪(強制わいせつ未遂罪)につき執行猶予付き判決を受けていたが、本件の第一審係属中に執行猶予が取り消され、確定した。これにより被告人は別罪の刑の執行を開始され、本件の原審(第二審)判決言い渡し当時もその執行中であった。原審は、本件の控訴を棄却するとともに、当審における未決勾留日数のうち60日を本刑に算入する旨を判示した。
あてはめ
被告人に対する本件の原審における未決勾留の全期間は、別罪の執行猶予取消しによって開始された刑の執行と重複していることが認められる。このように、身柄の拘束が別罪の既判力に基づく刑の執行として行われている期間は、本件における純粋な未決勾留とはいえない。したがって、この重複期間を本刑に算入した原審の判断は、刑法21条の解釈を誤り、判例(最大判昭32.12.25等)に相反するものであるといえる。
結論
未決勾留日数が別罪の刑の執行と重複する場合、その期間を本刑に算入することはできない。したがって、原判決中の未決勾留算入部分は破棄されるべきである。
実務上の射程
刑事実務において未決勾留日数の算入を検討する際、身柄拘束期間中に別罪の刑の執行(執行猶予の取消しや別件確定など)が重複していないかを厳格に確認する必要がある。答案上は、二重の利益(刑の執行を受けつつ未決算入も受けること)を否定する趣旨で引用する。
事件番号: 昭和55(あ)409 / 裁判年月日: 昭和55年7月18日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】懲役刑等の執行と期間が重複する未決勾留の日数は、刑法21条に基づき本刑に算入することはできない。未決勾留日数の算入が許されるのは、別罪の刑の執行が終了した日の翌日から判決言渡し前日までの期間に限られる。 第1 事案の概要:被告人は、本件被告事件について勾留中であったが、その期間内に、別罪(業務上過…